《ま、待て、ジョット!アレは…そ、そう、とっておきの場所に隠してある!》
《どこに隠した》
イタリア人さんは私の存在を忘れたように、体を入り口のほうに向けて、すこし中腰になりながら両手を前に出している。
コツ、コツ、とゆっくり足音をひびかせてピストルを構えたお兄さんが近づいてくると、イタリア人さんはジリジリ後退して、私の視界のはしへ消えた。
“カリアファミリー”…ファミリーって、マフィアのこと?
《お、俺だけが知ってる場所だ!俺を消したら、二度と見つからないぞ!》
《俺のターゲットは皆、命乞いをする…だが俺は、仕事で手を抜いたことは一度もない》
《ぐっ…ちくしょう!金も受け取って、あとは姿をくらますだけだったのによ!》



