《~~っ…帰る!》
《あ、待ってください!空港まで案内しますよ!》
バッと、私に背中を向けて早足で歩き出したジョットさんを追いかけ、私は閑静な道路を走った。
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あれから、ジョットさんは言葉を違えることなくイタリアに帰ってしまったので、私は日々メールを送って、ジョットさんとの細いつながりを大事にしている。
連絡をとるつもりはないって言ってたけど、なんだかんだ、ジョットさんは毎回短い返信をくれていた。
長引いた夏の気配も遠のき、ようやく秋を感じるようになったころ、私は修学旅行でやって来た、とある街を見まわした。
先生からもおなじ班のクラスメイトからも離れて、もうけっこう移動したかな。
昼下がりの日差しを浴びて白く染まる石畳の道を進み、街のにぎわいを はるかうしろに置いていく。



