《イタリアに帰っても、私のこと忘れないでくださいね》
《っ…き、きみは…》
目を細めて笑いかけると、ジョットさんは眉を八の字にして顔を片手でおおい、ごにょごにょと小さくなにか言った。
やった…!これで、ジョットさんの忘れられない人になれたかな?
さっきのよいんで ほおが熱くなっているのを感じながら、私も視線を落として、ぬくもりを感じた唇にふれる。
《…私、キスしたの初めてです》
初めてのキスをジョットさんとできてよかった。
じゅわりと、さらにほおが熱くなる感覚を覚えつつ、ほおがゆるむまま笑みを浮かべると、目の前から息を飲む小さな音が聞こえる。
視線を上げれば、指のすきまから私を見ているジョットさんと目が合った。



