《カリアファミリーのジョットだ。あんたと取り引きした男が渡したクスリは、我々から盗まれたもの。カリアファミリーにはそれを売買する意思はない》
ジョットさんは中川さんを見つめながら手短に話して、最後に《受け取ったクスリを返してもらいたい》と伝える。
すこしあごを引いた中川さんは、レンズの奥からするどい刃物のような視線をジョットさんに返した。
《そちらから盗まれたものだろうと、彼との取り引きはもう成立しました。それなりの額を渡したわけですから、タダで返すことはできませんね》
《…金は返す。あの男がいた、さびれた建物の付近を探せば見つかるだろう》
《なるほど…それで、彼はどうしたのです?》
メガネのフレームを、広げた右手で押さえながら尋ねる中川さんは、ちょっと不気味。
あの廃工場に私を連れて行ったのはこの人だし…。



