ジョットさんの顔を見て、すこし感じた恐怖が薄れ、笑顔でうなずくことができた。
目を閉じ、手のひらでひたいを押さえるジョットさんの顔を視界のはしにおさめつつ、私はコワモテの人に視線をもどす。
「あの、イタリア語が話せるお兄さんを呼んでいただけますか?メガネをかけている人です」
《おい、ナミ、勝手にしゃべるな。…せめて通訳をしろ》
「…いいだろう」
コワモテの人は、眉間にシワをきざんだまま、ジョットさんをチラリと見てあごを引いた。
私はジョットさんに言われたとおり、《コズモさんと取り引きをした人を呼んでくれるみたいです》と笑顔で通訳する。
《なに…?…ナミ、もう帰れ。あとは俺が1人で片をつける》
「入れ、客間に案内する」
「あ、はい!」



