ジョットさんは体の向きを変えて、耳に当てたスマホを両手で持つ。

 しかし通話が切れたのか、すぐにスマホを耳から離して、空をあおぐように、ひたいに手を当てた。




《ジョットさん?なんて言われたんですか?》


《…教えない》




 はぁ、とため息混じりに返されて、なんだったんだろう?と首をかしげる。

 ジョットさんは ひたいから手を離してスマホに視線をもどすと、トットッと画面を操作した。

 人のスマホをのぞき見るなんてマナー違反だけど、チラッと見えた画面に地図が表示されていて、思わずジョットさんの腕をつかむ。


 どこかに移動するつもりなのかも!そう思って、目的地を知るためにジョットさんのスマホをのぞきこんだ。




《あ、ここならわかるかも。道案内しますよ!今どの辺にいるかがわからないけど、まぁナビを使えばたどりつけるはずです!》