《しかし、女がこんな危険なことに…》




 “女”と呼ばれて、そういえばまだ名乗ってなかったなぁ、と気づく。




《私、朝生(あそう)穂波(ほなみ)って言います。あらためて、助けてくださってありがとうございました》


《あ、あぁ…オナミ?》


《いえ、穂波…あ、“ほ”ってイタリアの方には発音しづらいですよね。うーん…そうだ、ナミって呼んでください!》




 ジョットさんだけの特別な呼び名!

 呼んでもらえるのが楽しみだなぁ、と思ってニコニコしていたら、ジョットさんはクイッと片方の眉を上げ、こまったように口角を下げた。




《…ナミ》


《はい!》