《あの男が処分前のクスリを盗んで、日本に売りに来たのを止めるために…俺が来た》
そうなんだ…とあごに手を当てる。
でも、あのおクスリはもう、売られちゃったんだよね?スーツのお兄さんに。
ジョットさんのお仕事的に、やっぱりお兄さんの手に渡ったあのおクスリは回収しに行くのかな?
そこまで考えて、私は《あの!》と声をかけた。
《私、ジョットさんのお手伝いします!》
《…なに?》
《私、イタリア語がわかるし、取り引き相手の人の顔も見たし、すこしは土地勘もあるし、お役に立てると思います!これからおクスリ、探すんですよね?》
ジョットさんともっと一緒にいたいもん、この機会を逃す手はない!
笑顔で自己PRをすると、ジョットさんは眉根を寄せただけじゃなく、口をへの字に曲げた。



