王賀は澄ました顔で片足をソファーから下ろし、片足を自身のひざの上に置いて、半あぐらの姿勢で ほおづえをつく。
宿題にもどった彩姫が次の問題を、また次の問題を、と順調に解いていくのをしばらくながめたあと、王賀はゆっくりと立ち上がった。
「…王賀くん?」
「トイレ」
「そっか」
一度は王賀に顔を向けた彩姫が、納得したようすで宿題にもどると、王賀はしずかにリビングを出て、トイレに…ではなく。
別室のキッチンへと、のんびり歩いていった。
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「よし、終わった」
ふぅ、とため息混じりに彩姫がシャープペンシルを手放したそのとき、「じゃ、飯食べるぞ」と王賀の声がリビングにひびく。



