「ん、おかえり」
ごらんのとおりだらけきっている彼は、幼少のころから彩姫と婚約関係にある、一条寺王賀。
有名企業をいくつも手がける一条寺財閥の御曹司であり、無造作に はねた赤い髪はさておき、勝気そうな性格が見えるつり目に筋の通った鼻。
眉目秀麗と言われてとうぜんの容姿に、偏差値の高さで有名な高校でも学年1位をキープし続けて3年の頭脳。
女子に告白されることさえ日常の一部にすぎない、完璧な極上男子だ。
しかしながら――…。
『一条寺くん、好きです…!』
『婚約者がいる男に告白するとか、倫理観だいじょーぶ?』
『一条寺くん、この問題わかった?よければ教えてほしいんだけど…』
『俺がキミに貴重な時間を割いてあげる義理ある?』



