「はぁ…重いわね…」




 休み時間の廊下(ろうか)に、段ボール箱を(かか)えてゆっくり歩く先生を見つければ。




「私にまかせてください、先生」


「わ、若王子さん?まあ、ありがとう、力持ちね」




 代わりに段ボール箱を抱えて、ニコリと笑みを返す。


 日が暮れ、「ごきげんよう」とあいさつを交わしながら校舎を出る可憐な乙女たちに混じって、スラリとした足で姿勢(しせい)よく歩く彼女は。




「「ごきげんよう、若王子さま」」


「ごきげんよう。また明日会おうね」




 振り向いて笑みを浮かべ、手を振るだけで「きゃぁっ」と黄色い悲鳴(ひめい)を上げさせる、高等部2年、若王子(わかおうじ)彩姫(さき)だ。




「今日もステキ…どうして若王子さまはあんなにお美しく、かっこいいのかしら…」


「まるで現代に生まれた王子さまだわ…」