眉をひそめる王賀から発せられた声は、すこしキツイひびきをはらんでいた。
彩姫はうつむいたまま、ギュッと目をつぶって、カチャンと音を立てながらカトラリーを置く。
「だって…!私も王賀くんにおとらない、かっこいい王子さまになって、王賀くんのとなりに立ちたいんだ!王賀くんが…大好きだからっ」
「…はぁ。あのさ、彩姫だってもう高2だろ?俺たちは小さな子どもじゃなくて、大人になろうとしてる婚約者なんだ」
王賀は焦がれるように瞳をゆらしながら、うつむき続ける彩姫の頭をじっと見つめた。
「好きな“お兄ちゃん”のマネをしたいとかじゃなくてさ。…結婚相手の男として、俺を見ろよ」
「…ぇ?」



