「イジワルでけっこう。早くそれ片付けてこい」




 王賀は肩をすくめて廊下にもどり、1人で食堂に向かった。




「もう…明日こそは私が…」




 彩姫はブツブツとつぶやきながら、広げた教科書とノートをまとめて、自室に宿題セットを置きにもどる。

 王賀の到着(とうちゃく)から遅れて食堂に入った彩姫は、レストランで出てくるような見栄えのいい洋食がテーブルにならんでいるのを見て、目をかがやかせた。

 彩姫が足取り軽く席に座ると、2人は「いただきます」と声を合わせる。


 フォークとナイフを使って、いろどりあざやかな前菜をまず口に運んだ彩姫は、もぐもぐと口を動かしたあとに顔をほころばせた。




「おいしい!」


「俺が作ったんだからあたりまえ」


「うんっ」