仏の顔も三度までですわ!愛人と夫のツケ、すべて返していただきます

その後は、控室で積もる話をしながら賑やかに過ごした。
30分ほどして、再び扉がノックされる。
ロフィが出ると、そこにはデルバートと、ランドリックを抱っこしたシェリーナがいた。
シェリーナの髪は明るい茶色に染められている。
恐らく、今後はランドリックの乳母として顔を出す機会が増えるから、周囲を不審に思わせないために髪を染めたのだろう。

「待たせたな」

デルバートが部屋に入ると、リフィールは緊張した様子を見せた。
そうだよね…。父親として数える程度しか一緒に過ごしていないもの。威圧的な風貌を怖いと思っても仕方ない。

「赤ちゃん」

緊張した表情で、それでも弟への好奇心が抑えられないようにリフィールが呟いた。
シェリーナが娘と対面するのはとても久しぶりだと思う。どんな心境なのかな…。
そう思ってシェリーナを見たけれど、その視線はランドリックに固定されたままだ。
シェリーナは愛おし気にランドリックを見つめている。

「お母さま、私、ランドリックを抱っこしたいです」

リフィールが私に訴えてきた。
おお!デルバートがいるからか敬語を使ってる!

「なりません」

私が「いいですよ」という前に、シェリーナの冷たい声が飛んできた。

「ランドリック様は公爵家の大切な跡取りです。子どもに抱っこさせることはできません」

「お母さま、この人だれ?」

シェリーナよりもっと冷たい声を出したのはミラーネだ。

「まぁ!なんて野蛮な言葉づかいなのでしょう。公爵令嬢なのですから、もっと美しい言葉づかいをなさいませ」

シェリーナは実の娘にも棘のある言葉をつかうんだ…。

「使用人が公爵令嬢の私に口答えするの?名乗りもしないなんて無礼な人ね」

え?え?ミラーネったら数ヶ月会わないだけで、随分と強くなったじゃない。
思わず感心してしまった。