仏の顔も三度までですわ!愛人と夫のツケ、すべて返していただきます

辿り着いたのは、屋敷の最上階にある、便宜上はベビールームだ。
私は育児放棄の設定なので、あえて出入りが面倒な最上階にベビールームを作ったことになっている。
なお、最上階は出入りする人をかなり限定している。たてまえは公爵家の子どもを守るためで、本当はデルバートとシェリーナが気兼ねなく一緒にいるため。

「君はミラーネを抱っこして自室に戻ればいい。
そのとき、できるだけ人目に触れるようにしてくれ。君が乳母からミラーネを奪い取った体で動くように」

扉の前で、唐突に命令するデルバート。
私を横暴で身勝手な母親にして、シェリーナの機嫌を取りたいのかな。
もう、どうでもいいけど。

「私の部屋にはベビー用品がありませんが、どうすれば良いでしょうか?」

赤ちゃんにはいろいろなものが必要なのよ。

「それは、君を追うように使用人にベビー用品を運ばせるから問題ない」

なるほど、そこまでがセットなのね。
身勝手な公爵夫人に振り回される使用人を多くの人に見せて「乳母から赤ちゃんを奪ったアリステラ」を演出したいんだな…。
私はすべてを理解して頷いた。
それを確認し、デルバートはベビールームの扉を叩く。

「シェリーナ、入るよ」

優しい声音で断りを入れてから扉を開けるデルバート。
私のときはノックと同時に無言で入ってくるんだけどな…。
釈然としないまま私はデルバートに続いた。
初めて入るベビールームは、白とピンクを基調としていて、お花が飾られ、とてもかわいらしい部屋だった。