仏の顔も三度までですわ!愛人と夫のツケ、すべて返していただきます

「なんだ」

ギロッと私を睨むデルバート。
だから怖いって。

「あの…一応次期公爵夫人の私が育児放棄というのは、公爵家そのもののイメージを悪くする可能性があるのではないでしょうか…」

「白い目で見られるのが嫌なのか」

そうじゃなくて、公爵家そのものに悪影響があるんじゃないかって言ってるのよ!
本当は、シェリーナの子どもが「自分は親に放棄された」と思い込む危険性を恐れているんだけど。
でも、何を言っても聞き入れてくれないだろうし、怖くて言えない。
どうしたものかと黙るしかない私。

「それくらい我慢するのが当然だろう。
大切な我が子なのに母親を名乗れないシェリーナの気持ちを少しは考えろ!」

「申し訳ございません」

なんだかすべてがめんどくさくなって、私は謝罪しその場をやり過ごすことにした。

「産前産後の設定、君がやるべきこと、披露パーティーまでに覚えておくことは、この書類にすべてまとめてある」

デルバートはバサッとテーブルに書類を投げた。

「熟読しておけ。ミスは許さない。用件は終わりだ。出ていけ」

デルバートのどこまでも冷たい態度にはすっかり慣れていたので、私は少しばらけた書類をかき集めて手にすると、頭を下げて静かに退室した。
はぁ…疲れた…。

それにしても…、シェリーナもデルバートも子どものことよりも自分を優先するんだな…。
私の親もそうだった。自分の気持ちを優先し、私やリエルが何を思っているかなんて想像もしない人たちだった。
願わくば、乳母としてでもいいから、生まれてくる子どもに愛情を注いでほしい。
そんなことを思いながら、私は自分の部屋へ戻った。