「それで、今後の流れだが…」

デルバートは朗々と説明を始めた。
今日から１週間、私（本当はシェリーナ）の妊娠を周知し始める。
私は悪阻の演技をしながら社交会に出席して、妊娠の話を広げやすくし、後に悪阻が重くて静養する複線を作る。
そして、１週間後から静養を理由に別邸に入り、シェリーナが産後１ヶ月経過するまで引きこもる流れだ。
なお、シェリーナは私の世話役兼生まれた子どもの乳母という設定で、同じ別邸に住み始めるとのこと。
別邸は今住んでいる屋敷の隣にあり、かなり大きくてお庭も広大らしい。
アーデン家と専属の使用人、医療従事者以外は立ち入れないというので、別邸内なら行動制限はほとんどないという。

「私は愛する妻のつわりが心配で、別邸にとどまり続けることになっているから、そのように理解してくれ」

ああ…シェリーナと一緒にいるための嘘ね…。
それにしても、この人なんでふんぞり返ってんだ？
もしかして、罪悪感を誤魔化すために、あえて偉そうにしているとか？
それを見極められるほど、私はデルバートを知らない。

「はい。承知しました」

考えても無意味なので、私は淡々と返事をしてその場をやり過ごした。