仏の顔も三度までですわ!愛人と夫のツケ、すべて返していただきます

「いやっ!!!離して!!!」

もう殴られるのはうんざりだよ!

「落ち着いてくれ、アリステラ」

「怖い!やめて!」

「君に危害を加える気はない!どうか話を聞いてくれ!」

なんで私が話聞かなきゃいけないのよ!
キモキモキモキモ!!!触らないでよ!!!
と思っても、デルバートに力で敵うはずないんだよね…。

「…わかりました。とにかく離してください。それから、私と充分距離をとってください」

「…わかった…」

意外なことに、デルバートは素直に従ってくれた。

「…で、話ってなんですか?」

デルバートがなにも言わないので、仕方なく話を促す。
もう、なんなのよ、さっさとしてよマジで一瞬でも二人きりでいたくないのに。

「母上から聞いた。アリステラが軍事費を補填してくれたことを…」

ああ…それね…。

「オレのためにすまない…」

「違うから」

「え?」

あ、いけない。本音が口に出ちゃった。
でも即否定せずにはおれない。

「あなたのためではありません。子どもたちのためにアーデン家が築いてきた信頼を守っただけです」

「…それでも、ありがとう」

「あなたに感謝されるいわれはありません」

まさか感謝されて気持ち悪いなんて思う日が来るとは。

「怒って…いるのか…」

怒るとかそういう次元じゃないよ。

「今までのこと、本当に申し訳なかった…」

謝罪もいらないよ。
今後一生個人的に私に関わらないでほしい。