「懸念といえば、事業とは関係ないのですが…ランドリックのことでお伝えしなければならないことがございます」

「ランドリックのことか…」

ガウディーンの表情が曇った。
デルバートとシェリーナ関連の話は、私とはできる限り避けたいでしょうね。

「最近顔色が悪いのです…。明らかに覇気がなくなりました。笑顔も少なく、以前のような快活さがありません。
ですので、シェリーナ様にお話を伺いに行きました。
シェリーナ様は一生懸命ランドリックを教育してくださっていますが、その方法に問題があるようです。
幼児期に最も重要な睡眠時間を大幅に削って大きな負荷をかけ、しかも、発達にそぐわない訓練をランドリックに強いていました。
夕食後、教育係と乳母を退け、自分１人でランドリックを管理していたのです」

「…それに何か問題があるのか？ランドリックは優秀に育っている」

ガウディーンが不機嫌になるのがわかった。
コワイなぁ…この辺の圧は親子そっくり。
でも、挫けるわけにはいかない。

「私は事業展開のため、子どもの発達や健康について、専門家を招いてたくさんの知識を学びました。
幼児期、心と体の健やかな健康のためには、遊びに没頭する時間と充分な睡眠時間が必要です。
それらを削って勉強や訓練を重ねると、一時期は同年代より秀でた能力が育っているように見えるかもしれませんた、心身は徐々に疲弊し、病気になったり無気力になったりするリスクが上がります。
シェリーナ様はそのようなことを知らず、完全に独学でランドリックの睡眠時間を削って訓練しているのです」