でも、リエルは違った。
両親の愛情を一身に受けるユリスに嫉妬し苦しんでいた。
その苦しみをユリスにぶつけて両親から嫌われることを恐れ、鬱憤をすべて私にぶつけてきた。
これが本当に辛かった…。

「お姉様が私の面倒を見なければ、私はお母様からもお父様からも愛されていた！」

怒り狂うリエルと、それを支え続けるしかない私。
リエルの苦しい気持ちは理解できるから、邪険にできなかった。
ここで私が離れたら、リエルは壊れてしまうかもしれないし、そもそも両親がそれを許さない。
リエルの矛先を全て私に向けることで、両親はユリスを守っていたのだ。

そこへ、デルバートとの婚約話が転がり込んできた。
両親にとってはこれ以上ない美味しい縁談。当然ながら飛びついた。
リエルは「私の方が侯爵夫人にふさわしい」と訴えていたけど、両親は完全に黙殺。なんせ、デルバートはシェリーナとの未来のため熱烈に私を求めていたのだから。
リエルは銀髪だけど、瞳の色は父親似の茶褐色だ。
ちなみに、私の意向は一切聞かれなかった。まぁ…貴族令嬢の婚姻なんてそんなものなのでしょうけど。

デルバートに好印象はなかったけれど、地獄のカリアナ家から抜け出せることはありがたかった。
愛人の存在と跡取りについての話は驚いたけれど、公爵夫人２日目、丁寧に扱われ、美味しい朝食をのんびりと食べられる環境もとてもありがたい。
リエルのことは心配だけど、そのうち彼女も結婚してカリアナ家から解放されるだろう。
願わくば、リエルが幸せを感じられる相手と結婚してほしい。
半ば祈りながら、私は朝食を済ませた。