その夜。
琥太郎は、自分の部屋の机に向かっていた。
カーテンの隙間からは街灯の淡い光が差し込み、部屋の中には静かな時間が流れている。窓の外からは、夜の蝉の鳴き声が、昼よりも心なしか控えめに響いていた。
琥太郎は引き出しから、何も書かれていないノートを取り出す。
新品のそれは、真っ白なページがずらりと並んでいて、彼の心と同じくらい、空白だった。
けれど、その白は、どこかこれから始まることへの可能性を秘めているようでもあった。
ペンを握る指先が震えていた。
うまく書けるかなんてわからない。
自分に何ができるのかも、まだ見えてはいない。
けれど、それでも。
ページの中央に、琥太郎は、ゆっくりと書き込む。
〈僕にできること〉
たったそれだけの言葉に、無数の思いが込められていた。
不甲斐なさ、後悔、焦燥、そして――はじめての決意。
すぐに答えは出ない。
けれど、ノートのその一文字一文字が、これからの彼の歩みの一歩になる気がしていた。
誰かの背中を追いかけてばかりいた今までと、もう少しだけ違う自分になれるかもしれない――。
夜は深まり、風が静かにカーテンを揺らす。
その音に混じって、蝉の声が遠ざかっていく中、琥太郎はペンを握ったまま、次の言葉を探し続けた。
まだ名前も形もない「はじめの一歩」を、心の中で何度も反芻しながら。
琥太郎は、自分の部屋の机に向かっていた。
カーテンの隙間からは街灯の淡い光が差し込み、部屋の中には静かな時間が流れている。窓の外からは、夜の蝉の鳴き声が、昼よりも心なしか控えめに響いていた。
琥太郎は引き出しから、何も書かれていないノートを取り出す。
新品のそれは、真っ白なページがずらりと並んでいて、彼の心と同じくらい、空白だった。
けれど、その白は、どこかこれから始まることへの可能性を秘めているようでもあった。
ペンを握る指先が震えていた。
うまく書けるかなんてわからない。
自分に何ができるのかも、まだ見えてはいない。
けれど、それでも。
ページの中央に、琥太郎は、ゆっくりと書き込む。
〈僕にできること〉
たったそれだけの言葉に、無数の思いが込められていた。
不甲斐なさ、後悔、焦燥、そして――はじめての決意。
すぐに答えは出ない。
けれど、ノートのその一文字一文字が、これからの彼の歩みの一歩になる気がしていた。
誰かの背中を追いかけてばかりいた今までと、もう少しだけ違う自分になれるかもしれない――。
夜は深まり、風が静かにカーテンを揺らす。
その音に混じって、蝉の声が遠ざかっていく中、琥太郎はペンを握ったまま、次の言葉を探し続けた。
まだ名前も形もない「はじめの一歩」を、心の中で何度も反芻しながら。


