魔法使いリリナのきらきらな宝石さがし

お城を飛び出したリリナは、あることに気がつきます。

「シューティングスターはどんな宝石なのかな?」

するとリリナのとなりを走っていたミミがピタッと止まり、首元についているブローチを見せてくれます。

「このブローチはシューティングスターで出来ているのっ! オレンジ色にかがやいていてきれいでしょ!」

ミミが見せてくれた首元のブローチは丸いオレンジ色の宝石がついています。

「きれいなオレンジ色の宝石ね」

リリナがそう言った瞬間……なんと宝石の色があざやかなエメラルドグリーンに変わってしまったのですっ!

「どうして!?」

リリナが驚いていると、ミミが大切そうにブローチをギュッとにぎりしめました。

「シューティングスターは、持ち主が色を変幻自在(へんげんじざい)に変えることが出来るの! だから特別な宝石なのよ!」

宝石シューティングスター、それは魔法のようにリリナの心をワクワクとさせてくれます。

「ミミ、私もシューティングスターを沢山見つけたいっ!」
「ふふっ、リリナならそう言ってくれると思っていたわ! じゃあ、まずはルビーの森に出発ね!」
「ルビーの森?」

リリナはルビーの森という名前を聞いたことはありませんでした。

ミミは目をぱちぱちさせて、リリナの顔をじっと見つめています。

「ねぇ、リリナ! りんごの木は見たことがある?」
「りんごの木? それなら見たことがあるけれど……」
「じゃあ、もしりんごの実が全部ルビーだったらどうする?」

リリナは頭をいっぱい動かして、りんごの実がルビーに変わってしまう景色を想像します。

「キラキラできれいな気がするっ!」

そう元気いっぱいに返事をしたリリナ。

そんなリリナを見て、ミミがいたずらっ子のように笑います。

「きっとリリナの想像より、ルビーの森はもっとキラキラでかわいいのよっ!」

ミミがそう言って、ぴょんと跳ねたかと思うと、またミミの姿が羽の生えたほうきに変わりました。

「さぁ、リリナ。私に乗って! ルビーの森に行きましょ!」
「……」
「リリナ?」

リリナは何故かほうきに乗ろうとしません。

(またミミに乗せてもらうの? 私はキララ様に選ばれたジュエリーライトを目指す魔法使いなのにっ……!)

リリナが杖をギュッとにぎりしめます。

(どうか叶ってっ! 私はジュエリーライトになるのっ!)

リリナが勇気を出して、杖をふりました。

「ほうきよ、出てきて! そして、私をルビーの森に連れて行って!」

ぽんっ!

リリナの手には、いつの間にか可愛いリボンのついたほうきがにぎられていました。

ミミのほうきのように羽はついていません。

それでも、絶対に飛べるっ!とリリナは自分の魔法を信じます。

そっとほうきにまたがると……

ふわっ!

一瞬でリリナの身体は浮かび上がっていきました。

「さすがリリナ! キララ様に選ばれた魔法使いねっ!」

いつの間にか一緒にほうきに乗っていたミミがそう言いました。

まるで勇気がリリナに力をくれたようです。

「ミミ。私、もっとすごい魔法も使えるようになりたいっ!」
「なれるよ! だってリリナはジュエリーライトになるんでしょ?」
「うんっ!」

リリナが自分のほうきに乗ってみる景色は、ミミに乗せてもらっていた時よりかがやいて見えます。

さぁ、ルビーの森に向かいましょう!