ここは山の中にある木で出来た小さなおうち。
魔法使い見習いのリリナは今日もひとりで魔法の練習をしています。
リリナは魔法の杖を片手に持って、ブンっとふりました。
ぼふんっ!
「ひゃぁあ!」
もくもくとけむりの上がるガラスびん。けむりのせいでリリナのかみはぐちゃぐちゃです。
「また失敗しちゃった……」
リリナのママは立派な魔法使い。
しかしリリナの魔法は失敗ばかりでまだまだのようです。
コンコンッ。
(誰か来た?)
リリナのママが帰ってきたのでしょうか?
リリナがとびらを勢いよく開けると……
「だれもいない?」
「ここだよ! ここ!」
どこからか声がして、リリナは周りを見わたします。
「ここだってばー!」
その時、リリナは足元に真っ白なウサギがいることに気がつきます。
大きな二つの耳はもふもふで、まっしろな体は雪玉のようです。
「私の名前はミミ! 大きな耳が可愛いミミ。リリナをむかえにきたよ!」
「私をむかえに……?」
「そう! リリナは大魔法使いのキララ様に選ばれたのっ!」
ミミが大きな耳をぴょこぴょこと動かして、とびはねます。
ぴょこぴょこと飛んで、最後は……大ジャンプ!
リリナの肩の上にとび乗りました。
「キララ様は全ての魔法使いのあこがれなの! リリナのママの師匠でもあるよ」
「そうなの!?」
リリナのママの師匠。
つまりリリナのママに魔法を教えた人ということです。
「キララ様がリリナに会いたいって言ったから、私が迎えに来たの!」
そう言って、ミミはまたぴょんと飛んで、今度はリリナの頭の上に乗りました。
「リリナはほうきで空を飛べる?」
「まだ出来ない……」
「分かった! じゃあ私が連れて行ってあげる!」
ミミが飛び跳ねて床に降りたかと思うと、次の瞬間……
なんと羽の生えたほうきに変わってしまったのです!
「ほら、リリナ。乗って!」
ほうきからミミの声が聞こえて、リリナは驚いてしまいます。
「早くー!」
しかしミミに急かされ、そっとほうきをまたいだ瞬間にふわっと身体が浮き上がりました。
「きゃあっ!」
初めて飛んだ空は青くて、とってもきれいです。
ふわふわなくもにかこまれながら、リリナはぐんぐん進んでいきます。
「ねぇ、ミミ。キララ様ってどこにいるの?」
「魔法の国よ! 海の中にある秘密のトンネルをぬけたところにあるの!」
「海の中!?」
リリナが驚いている間に海が見えてきてしまいます。
しかしリリナにはある秘密がありました。
「私、泳げないよ!」
「ふふっ、大丈夫だよ。だって、リリナはキララ様に選ばれた魔法使いだものっ!」
そうミミに言われても、まだ簡単な魔法も使えないリリナは不安なままです。
そんなリリナにミミがある問題を出しました。
「ねぇ、リリナ。リリナが魔法をうまく使えないのは何でだと思う?」
「それは私が下手だから……」
「違うよ。正解は……」
※ここで簡単なクロスワードパズル。答えは「じしん」
「じしん?」
「そうよ! リリナには自信が足りないの! 絶対に魔法が使えるっていう自信っ!」
「でも……」
まだ不安そうなリリナをなぐさめるように、突然ほうきがぐんぐんと空に向かって上がっていきます。
リリナは必死にほうきにつかまります。
「止まってー!!!」
しかしミミは止まってくれません。
そのままくもを突き抜け、くもを見渡せるくらいの高さまで上がっていきます。
「リリナ、見て!」
下を見れば、おおきなくもが沢山並んでいます。
まるでわたあめの王国に迷い込んだようです。
(くもってこんなにふわふわだったんだ)
「くもも下から見るのと、上から見るのじゃ全然違うでしょ? 空を自由に飛べたら毎日この景色が見られるよ!」
ミミが空を飛び回り、沢山のくもを見せてくれます。
「海の中も空と同じくらいきれいだよっ! ううん。空よりきれいかも!」
ミミの声が大きく空にひびきわたります。
「リリナっ! 今から海にとび込むから、空気のわっかを作って!」
「空気のわっか?」
「そうっ! 海の中でも息ができるようにするの」
「そんなの出来ないよ〜」
リリナが弱音を吐いた瞬間、ほうきがぐるんっと方向を変えました。
そちらは海とは逆の方向です。
「ミミっ!?」
「リリナが海に入らないなら、このまま一緒に空を旅しようっ!」
ほうきがそのまま海とは逆の方向に進んでいきます。
(このまま魔法の国に行かなくて良いの?)
(魔法が上手くなりたかったのに)
(せっかくキララ様に選んでもらえたのにっ……!)
まだあきらめたくないという気持ちがリリナに勇気をくれました。
「ミミ、海に向かって! 私が空気のわっかを作る!」
「そうこなくっちゃ!」
ほうきがまた方向を変えます。
次は海に向かって一直線。
もう止まることはありません。
リリナは目をつぶり、大きな声でさけびます。
「空気のわっかよ! 私たちをつつんで!」
ぽふんっ。
目をあけると、大きな空気のわっかがリリナとミミをつつんでいます。
まるでシャボン玉の中に入っているようです。
「出来た……!!!」
「言ったでしょ? リリナなら大丈夫だって」
大きくて青い海が見えてきます。
その時、ほうきのスピードがさらに上がりました。
「ここから一気に海の中に入るよ! リリナ、つかまって!」
「うんっ!」
さぁ、海の中へ!
魔法使い見習いのリリナは今日もひとりで魔法の練習をしています。
リリナは魔法の杖を片手に持って、ブンっとふりました。
ぼふんっ!
「ひゃぁあ!」
もくもくとけむりの上がるガラスびん。けむりのせいでリリナのかみはぐちゃぐちゃです。
「また失敗しちゃった……」
リリナのママは立派な魔法使い。
しかしリリナの魔法は失敗ばかりでまだまだのようです。
コンコンッ。
(誰か来た?)
リリナのママが帰ってきたのでしょうか?
リリナがとびらを勢いよく開けると……
「だれもいない?」
「ここだよ! ここ!」
どこからか声がして、リリナは周りを見わたします。
「ここだってばー!」
その時、リリナは足元に真っ白なウサギがいることに気がつきます。
大きな二つの耳はもふもふで、まっしろな体は雪玉のようです。
「私の名前はミミ! 大きな耳が可愛いミミ。リリナをむかえにきたよ!」
「私をむかえに……?」
「そう! リリナは大魔法使いのキララ様に選ばれたのっ!」
ミミが大きな耳をぴょこぴょこと動かして、とびはねます。
ぴょこぴょこと飛んで、最後は……大ジャンプ!
リリナの肩の上にとび乗りました。
「キララ様は全ての魔法使いのあこがれなの! リリナのママの師匠でもあるよ」
「そうなの!?」
リリナのママの師匠。
つまりリリナのママに魔法を教えた人ということです。
「キララ様がリリナに会いたいって言ったから、私が迎えに来たの!」
そう言って、ミミはまたぴょんと飛んで、今度はリリナの頭の上に乗りました。
「リリナはほうきで空を飛べる?」
「まだ出来ない……」
「分かった! じゃあ私が連れて行ってあげる!」
ミミが飛び跳ねて床に降りたかと思うと、次の瞬間……
なんと羽の生えたほうきに変わってしまったのです!
「ほら、リリナ。乗って!」
ほうきからミミの声が聞こえて、リリナは驚いてしまいます。
「早くー!」
しかしミミに急かされ、そっとほうきをまたいだ瞬間にふわっと身体が浮き上がりました。
「きゃあっ!」
初めて飛んだ空は青くて、とってもきれいです。
ふわふわなくもにかこまれながら、リリナはぐんぐん進んでいきます。
「ねぇ、ミミ。キララ様ってどこにいるの?」
「魔法の国よ! 海の中にある秘密のトンネルをぬけたところにあるの!」
「海の中!?」
リリナが驚いている間に海が見えてきてしまいます。
しかしリリナにはある秘密がありました。
「私、泳げないよ!」
「ふふっ、大丈夫だよ。だって、リリナはキララ様に選ばれた魔法使いだものっ!」
そうミミに言われても、まだ簡単な魔法も使えないリリナは不安なままです。
そんなリリナにミミがある問題を出しました。
「ねぇ、リリナ。リリナが魔法をうまく使えないのは何でだと思う?」
「それは私が下手だから……」
「違うよ。正解は……」
※ここで簡単なクロスワードパズル。答えは「じしん」
「じしん?」
「そうよ! リリナには自信が足りないの! 絶対に魔法が使えるっていう自信っ!」
「でも……」
まだ不安そうなリリナをなぐさめるように、突然ほうきがぐんぐんと空に向かって上がっていきます。
リリナは必死にほうきにつかまります。
「止まってー!!!」
しかしミミは止まってくれません。
そのままくもを突き抜け、くもを見渡せるくらいの高さまで上がっていきます。
「リリナ、見て!」
下を見れば、おおきなくもが沢山並んでいます。
まるでわたあめの王国に迷い込んだようです。
(くもってこんなにふわふわだったんだ)
「くもも下から見るのと、上から見るのじゃ全然違うでしょ? 空を自由に飛べたら毎日この景色が見られるよ!」
ミミが空を飛び回り、沢山のくもを見せてくれます。
「海の中も空と同じくらいきれいだよっ! ううん。空よりきれいかも!」
ミミの声が大きく空にひびきわたります。
「リリナっ! 今から海にとび込むから、空気のわっかを作って!」
「空気のわっか?」
「そうっ! 海の中でも息ができるようにするの」
「そんなの出来ないよ〜」
リリナが弱音を吐いた瞬間、ほうきがぐるんっと方向を変えました。
そちらは海とは逆の方向です。
「ミミっ!?」
「リリナが海に入らないなら、このまま一緒に空を旅しようっ!」
ほうきがそのまま海とは逆の方向に進んでいきます。
(このまま魔法の国に行かなくて良いの?)
(魔法が上手くなりたかったのに)
(せっかくキララ様に選んでもらえたのにっ……!)
まだあきらめたくないという気持ちがリリナに勇気をくれました。
「ミミ、海に向かって! 私が空気のわっかを作る!」
「そうこなくっちゃ!」
ほうきがまた方向を変えます。
次は海に向かって一直線。
もう止まることはありません。
リリナは目をつぶり、大きな声でさけびます。
「空気のわっかよ! 私たちをつつんで!」
ぽふんっ。
目をあけると、大きな空気のわっかがリリナとミミをつつんでいます。
まるでシャボン玉の中に入っているようです。
「出来た……!!!」
「言ったでしょ? リリナなら大丈夫だって」
大きくて青い海が見えてきます。
その時、ほうきのスピードがさらに上がりました。
「ここから一気に海の中に入るよ! リリナ、つかまって!」
「うんっ!」
さぁ、海の中へ!



