【夜探偵事務所】
イヴァンのその言葉に
事務所の空気が少しだけ温かくなった
その時だった
イヴァンの視線が
腕と足を組み向い側のソファに座っていた夜の上で
ぴたりと止まった
イヴァン:『……そして』
彼は
雷に打たれたかのように固まると
タキの方を向き
まるで子供のように目をキラキラさせて言った
イヴァン:『俺は、彼女が好きだ』
一同驚愕
璃夏と健太は口をあんぐりと開けて固まっている
夜は
その告白に動じない
ただ、ニヤリと
悪戯っぽく笑った
彼女の背後に
ゆらり、と
夜よりも深い闇が具現化する
巨大な鎌を持つ死神
日(アキラ)が、その全貌を現した
夜:「これでも、私を愛せる?」
夜は、心の底から楽しそうに笑いながら聞いた
イヴァンは顔面蒼白になり
生まれたての子鹿のように
ガタガタと震え出した
その姿を見て
夜は、今度こそ腹を抱えて爆笑した
イヴァンは
目の前で起きた超常現象を
全て無かったことにするかのように
パン!と自分の両頬を叩いた
そして
満面の笑みで、こう言った
イヴァン:『腹が減ったな!日本のラーメンというものを食べてみたいんだが!』
一瞬の沈黙
今まで黙って成り行きを見ていた滝沢が
心底、不思議そうに、そして呆れたように呟いた
滝沢:「……こいつの脳の回路はどうなってるんだ」
その、あまりに的確な一言が引き金になった
それまで固まっていた璃夏と健太が
同時に、腹を抱えて吹き出した
こうして
一行は、近所のラーメン屋へ向かった
ラーメンを食べ終え
店の外で、一行は解散した
滝沢と璃夏、そしてイヴァンは
滝沢のアジトへと帰っていく
夜と健太は
それぞれの家へと帰路についた
壮絶な戦いと
衝撃の告白と
そして涙と笑いに満ちた
長い、長い一日が
ようやく終わろうとしていた



