第七章:終戦後
【令和島】
戦いの後の静寂が
埠頭を支配していた
遠くでサイレンの音が聞こえ始める
滝沢は
呆然と立ち尽くす二人の被検体に声をかけた
滝沢:「お前たち名前は?」
少年の一人がおずおずと答える
ミーシャ:「……ミーシャ」
もう一人もか細い声で続けた
アリョーシャ:「アリョーシャ……」
夜:「私たちは戻るわ」
夜が健太を促し
フロント部分がボコボコになった社用車に乗り込む
そして走り去って行った
滝沢も残った仲間たちに声をかける
彼らは一台の車に乗り込んだ
【車内】
璃夏がハンドルを握る
イヴァンが興奮した様子で滝沢の肩を叩いた
イヴァン:「タキの為にあれだけの人が助けに来るとは!」
イヴァン:「やっぱりタキは凄いな!」
滝沢:「誰にも言わねぇで一人で来たのにとんでもない事になった」
イヴァン:「タキは人気者なんだな!」
滝沢:「なんで殺し屋が人気あんだよ」
滝沢:「商売にならねぇ」
イヴァン:「ははは!」
イヴァン:「しかし殺し屋か。タキらしいな」
その会話を
璃夏は微笑みながら聞いていた
【沖田診療所】
滝沢が診療所のドアを乱暴に叩く
沖田:「あーあーあー!何じゃ今何時だと……」
沖田が眠そうにドアを開けた
沖田:「滝沢じゃないか」
沖田:「おぉー!璃夏ちゃんじゃあないか!」
沖田はそう言うと璃夏に抱きつこうとする
だがその首根っこを滝沢に掴まれた
滝沢:「とりあえず中に入れジジイ」
【診療所内】
沖田:「で、何の用じゃ?」
滝沢:「この二人の精密検査と治療をしてやってくれ」
沖田:「ほぅ…どこか悪いのか?」
滝沢:「こいつらは俺と同じだ」
滝沢:「ロシア軍の『被検体』。感情と記憶を消す薬を打たれ続けてきた」
滝沢:「身体を徹底的に調べ上げて元に戻してやってくれ」
沖田:「……ロシア軍の殺戮マシーンになる薬か…」
沖田:「そりゃ見当もつかん薬だが色々検査してから考えるか」
滝沢:「しばらくここで入院させてしっかり診てやってくれ」
沖田:「わかった」
話が終わったその時
璃夏が口を開いた
璃夏:「沖田先生」
沖田:「おぉ璃夏ちゃんどうした?」
璃夏:「一つ聞きたいことがあります」
璃夏:「私の胸が大きくなってるんです」
璃夏:「これは誰の仕業ですか?」
滝沢と沖田は
同時に互いを指差した
滝沢:「ジジイ!嘘ついてんじゃねぇ!」
そのやり取りに璃夏は声を上げて爆笑する
日本語が分からないイヴァンも
なぜか楽しそうにつられて笑っていた
滝沢はミーシャとアリョーシャに向き直る
滝沢:「お前たちがされてきた事を検査して治療する」
滝沢:「しばらくここで安静にしてろ。心配はいらない」
二人の少年はこくりと頷いた
滝沢:「じゃあ後は頼む」
沖田:「ちょ、ちょっと待て」
沖田:「日本語が通じんじゃろ?」
ミーシャ:「……スコシナラ、ハナセル」
沖田:「なら大丈夫か」
璃夏:「スマホの会話型翻訳アプリおすすめですよ」
璃夏はイヴァンとの会話で実演してみせる
璃夏:「この人たちが私の胸を勝手に大きくしたんです」
滝沢と沖田を指差しながら
イヴァン:『それはとてもスケベだな』
イヴァンのロシア語が
アプリを通して日本語に翻訳される
滝沢が叫んだ
滝沢:「俺じゃねぇ!」
イヴァンは腹を抱えて笑っている
璃夏も笑いが止まらない
滝沢:「もういい、行くぞ」
滝沢は診療所を出ていく
璃夏は沖田に頭を下げて
イヴァンと滝沢の後を追った
【令和島】
戦いの後の静寂が
埠頭を支配していた
遠くでサイレンの音が聞こえ始める
滝沢は
呆然と立ち尽くす二人の被検体に声をかけた
滝沢:「お前たち名前は?」
少年の一人がおずおずと答える
ミーシャ:「……ミーシャ」
もう一人もか細い声で続けた
アリョーシャ:「アリョーシャ……」
夜:「私たちは戻るわ」
夜が健太を促し
フロント部分がボコボコになった社用車に乗り込む
そして走り去って行った
滝沢も残った仲間たちに声をかける
彼らは一台の車に乗り込んだ
【車内】
璃夏がハンドルを握る
イヴァンが興奮した様子で滝沢の肩を叩いた
イヴァン:「タキの為にあれだけの人が助けに来るとは!」
イヴァン:「やっぱりタキは凄いな!」
滝沢:「誰にも言わねぇで一人で来たのにとんでもない事になった」
イヴァン:「タキは人気者なんだな!」
滝沢:「なんで殺し屋が人気あんだよ」
滝沢:「商売にならねぇ」
イヴァン:「ははは!」
イヴァン:「しかし殺し屋か。タキらしいな」
その会話を
璃夏は微笑みながら聞いていた
【沖田診療所】
滝沢が診療所のドアを乱暴に叩く
沖田:「あーあーあー!何じゃ今何時だと……」
沖田が眠そうにドアを開けた
沖田:「滝沢じゃないか」
沖田:「おぉー!璃夏ちゃんじゃあないか!」
沖田はそう言うと璃夏に抱きつこうとする
だがその首根っこを滝沢に掴まれた
滝沢:「とりあえず中に入れジジイ」
【診療所内】
沖田:「で、何の用じゃ?」
滝沢:「この二人の精密検査と治療をしてやってくれ」
沖田:「ほぅ…どこか悪いのか?」
滝沢:「こいつらは俺と同じだ」
滝沢:「ロシア軍の『被検体』。感情と記憶を消す薬を打たれ続けてきた」
滝沢:「身体を徹底的に調べ上げて元に戻してやってくれ」
沖田:「……ロシア軍の殺戮マシーンになる薬か…」
沖田:「そりゃ見当もつかん薬だが色々検査してから考えるか」
滝沢:「しばらくここで入院させてしっかり診てやってくれ」
沖田:「わかった」
話が終わったその時
璃夏が口を開いた
璃夏:「沖田先生」
沖田:「おぉ璃夏ちゃんどうした?」
璃夏:「一つ聞きたいことがあります」
璃夏:「私の胸が大きくなってるんです」
璃夏:「これは誰の仕業ですか?」
滝沢と沖田は
同時に互いを指差した
滝沢:「ジジイ!嘘ついてんじゃねぇ!」
そのやり取りに璃夏は声を上げて爆笑する
日本語が分からないイヴァンも
なぜか楽しそうにつられて笑っていた
滝沢はミーシャとアリョーシャに向き直る
滝沢:「お前たちがされてきた事を検査して治療する」
滝沢:「しばらくここで安静にしてろ。心配はいらない」
二人の少年はこくりと頷いた
滝沢:「じゃあ後は頼む」
沖田:「ちょ、ちょっと待て」
沖田:「日本語が通じんじゃろ?」
ミーシャ:「……スコシナラ、ハナセル」
沖田:「なら大丈夫か」
璃夏:「スマホの会話型翻訳アプリおすすめですよ」
璃夏はイヴァンとの会話で実演してみせる
璃夏:「この人たちが私の胸を勝手に大きくしたんです」
滝沢と沖田を指差しながら
イヴァン:『それはとてもスケベだな』
イヴァンのロシア語が
アプリを通して日本語に翻訳される
滝沢が叫んだ
滝沢:「俺じゃねぇ!」
イヴァンは腹を抱えて笑っている
璃夏も笑いが止まらない
滝沢:「もういい、行くぞ」
滝沢は診療所を出ていく
璃夏は沖田に頭を下げて
イヴァンと滝沢の後を追った



