第五章:交差する運命
【夕方・都内某所の繁華街】
ネオンが灯り始め
仕事終わりの人々が酒場へと吸い込まれていく
そんなありふれた夕暮れの雑踏に
明らかに異質な三人の男たちがいた
一人はブラウンのロングコートに
ハットを深く被りサングラスをかけた長身の男
その後ろに影のように続く
黒のロングコートを着た二人の男
彼らは繁華街の喧騒には目もくれず
一つの古びたビルの
地下へと続く狭い階段を降りていった
カランコロン、とドアベルが鳴る
そこは客のいない静かな地下のバーだった
三人はカウンター席に腰を下ろす
その姿を見てバーの店主の動きが一瞬だけ止まった
全員が日本人離れした体格の外国人だったからだ
店主:「あー、ウェルカム……あー…」
戸惑う店主に
黒いロングコートの男の一人が静かに言った
黒コートの男:「スコシ、ニホンゴワカル」
店主:「あぁ、良かったです」
店主:「ご注文は、いかがなさいましょう?」
黒コートの男:「オススメノ、Cocktail」
その言葉を聞いた瞬間
店主の目が変わった
人懐っこいバーテンダーの目から
全てを見定めるプロの目へと
店主:「……でしたら、季節のカクテルなどは、いかがでしょう?」
黒コートの男:「血ノ、味ノ、Cocktail」
男は、片言だが
はっきりと、そう言った
店主:「……VIPルームへ、ご案内します」
店主:「こちらへ」
店主はカウンターから出ると
バーの奥にある重厚な扉へと三人を誘導する
三人は無言でその後につづきVIPルームに入った
部屋の中央にテーブルとソファだけがある
殺風景な部屋
真ん中にブラウンのコートの男
その両脇を黒コートの男たちが固める
テーブルの上には
時代錯誤なダイヤル式の黒電話が
一つだけ置かれていた
店主:「受話器を上げれば、繋がります」
店主:「では、ごゆっくり」
店主は深々とお辞儀をすると
音もなく部屋から出て行った
真ん中のブラウンのコートの男が
ゆっくりと、受話器を取る
コール音は、ない
すぐに、電話は繋がった
受話器の向こうから
地を這うような低く、感情のない声が聞こえてきた
『―――誰を、殺して欲しい?』
【夕方・都内某所の繁華街】
ネオンが灯り始め
仕事終わりの人々が酒場へと吸い込まれていく
そんなありふれた夕暮れの雑踏に
明らかに異質な三人の男たちがいた
一人はブラウンのロングコートに
ハットを深く被りサングラスをかけた長身の男
その後ろに影のように続く
黒のロングコートを着た二人の男
彼らは繁華街の喧騒には目もくれず
一つの古びたビルの
地下へと続く狭い階段を降りていった
カランコロン、とドアベルが鳴る
そこは客のいない静かな地下のバーだった
三人はカウンター席に腰を下ろす
その姿を見てバーの店主の動きが一瞬だけ止まった
全員が日本人離れした体格の外国人だったからだ
店主:「あー、ウェルカム……あー…」
戸惑う店主に
黒いロングコートの男の一人が静かに言った
黒コートの男:「スコシ、ニホンゴワカル」
店主:「あぁ、良かったです」
店主:「ご注文は、いかがなさいましょう?」
黒コートの男:「オススメノ、Cocktail」
その言葉を聞いた瞬間
店主の目が変わった
人懐っこいバーテンダーの目から
全てを見定めるプロの目へと
店主:「……でしたら、季節のカクテルなどは、いかがでしょう?」
黒コートの男:「血ノ、味ノ、Cocktail」
男は、片言だが
はっきりと、そう言った
店主:「……VIPルームへ、ご案内します」
店主:「こちらへ」
店主はカウンターから出ると
バーの奥にある重厚な扉へと三人を誘導する
三人は無言でその後につづきVIPルームに入った
部屋の中央にテーブルとソファだけがある
殺風景な部屋
真ん中にブラウンのコートの男
その両脇を黒コートの男たちが固める
テーブルの上には
時代錯誤なダイヤル式の黒電話が
一つだけ置かれていた
店主:「受話器を上げれば、繋がります」
店主:「では、ごゆっくり」
店主は深々とお辞儀をすると
音もなく部屋から出て行った
真ん中のブラウンのコートの男が
ゆっくりと、受話器を取る
コール音は、ない
すぐに、電話は繋がった
受話器の向こうから
地を這うような低く、感情のない声が聞こえてきた
『―――誰を、殺して欲しい?』



