【短】悪女、悪魔に転生する。



 悪魔って、万能(ばんのう)すぎじゃない?

 はは、と乾いた笑みが浮かぶあたしに、エヴァンは半とうめいのふわふわした球を2つ差し出す。




「こりぇ…」


「あの馬車を引いていた馬のタマシイだよ。人間のものよりすこし質は落ちるけど、今日の収穫。せっかくだから食べてごらん」


「あ…」




 あの馬たち、死んじゃったんだ。

 エヴァンがあたしを助けるために作った、土の壁にぶつかったんだもんね…。

 なんの罪もないのにかわいそう、と思いながらも、いつもの空腹をあおるいい匂いがして、ごくりと のどが鳴った。


 エヴァンからタマシイを1個受け取って、カプッとかじりつく。

 わたあめのように、口に入れたらすぐ溶けていくそれは、寝起きに飲んだ水のごとく、体中に()み渡ってあたしを満たした。

 料理のように、味を感じる、というのとはまたちがう感覚。