【短】悪女、悪魔に転生する。

 でも、子どもの体じゃ手を伸ばして持ち上げるのはむずかしいわね…。




「えばん、ありぇ、うかしぇて」


「うん?あの植木ばち?」




 初めてだもの、これくらいのサポートがあっても許されるでしょ。

 顔を上げて、すぐうしろまでついて来ていたエヴァンに手伝いをたのむと、エヴァンはすぐにふわりと植木ばちを浮かせてくれた。

 充分手の届く高さに来た植木ばちを持って、「ん、しょ」と頭上に振りかぶる。




「シーラ、なにをするの?」


「こりぇ、なげて、ぶつけりゅ」


「え」




 あのおばさんは もうすぐあたしたちの目の前を通りすぎる。

 そのタイミングをねらって、思いっきり投げれば…!

 同情も抵抗(ていこう)も捨てるのよ、と眉間(みけん)にしわを寄せておばさんをにらむと、「ま、待って待って」とエヴァンが抱きしめるようにあたしを止めてきた。