強風にみまわれながらすさまじい速度で落下する――ことなく、ごまのように小さな街にグングンせまりながらも、ほおに受けるのはそよ風レベル。
さすが自然をあやつる悪魔、器用なものだわ、と思っているあいだに、エヴァンは地上へ降りて、ふわりと屋根に着地した。
「シーラ、こわかった?ごめんね」
頭をなでながら声をかけられて、あたしは気づかぬうちにエヴァンのシャツをギュッとにぎりしめていたことに気づく。
「は、はじめてだかりゃよ」
「うん、びっくりしたね」
あたしの強がりを受け流して、よしよしと頭をなで続けるエヴァン。
子どもあつかいされるなんて、プライドが傷つくわ…!
くっ、と奥歯をかみしめると、エヴァンは「見てごらん」とやさしくあたしに語りかけた。



