悪魔になってこんなメルヘンな体験をするとは思わなかった。
上空はさむいし空気が薄いとどこかで聞いたことがあるけど、涼しいと感じるくらいで済んでいるから、悪魔の肉体は丈夫なのかもしれない。
この世界にも青い空というものがあったらしく、家から離れるほど、赤から青へ、周りの空がグラデーションして変わっていくのは一種の芸術だった。
「もうすぐ人間の街に着くよ。人間は俺たちを見たらおどろいちゃうから、街に降りたら屋根を歩いていこうね」
「ん」
まぁ、人間のタマシイが一番おいしいと言ってタマシイを狩りに来る悪魔がいたら、そりゃあ命の危機を感じてさわぐでしょ。
思わず人間に同情して考えたあと、ハッとして首を振る。
ちがうちがう、あたしはこれから人間を殺しに行くの。
あたしはもう人間じゃない、悪魔として生まれて、5年 生きてきたのよ。
人間に同情なんてしちゃいけないわ。
眉間にしわを寄せてグッと足元のくもをにらんでいると、エヴァンは「降りるよ」と言って、くもから飛び降りた。
上空はさむいし空気が薄いとどこかで聞いたことがあるけど、涼しいと感じるくらいで済んでいるから、悪魔の肉体は丈夫なのかもしれない。
この世界にも青い空というものがあったらしく、家から離れるほど、赤から青へ、周りの空がグラデーションして変わっていくのは一種の芸術だった。
「もうすぐ人間の街に着くよ。人間は俺たちを見たらおどろいちゃうから、街に降りたら屋根を歩いていこうね」
「ん」
まぁ、人間のタマシイが一番おいしいと言ってタマシイを狩りに来る悪魔がいたら、そりゃあ命の危機を感じてさわぐでしょ。
思わず人間に同情して考えたあと、ハッとして首を振る。
ちがうちがう、あたしはこれから人間を殺しに行くの。
あたしはもう人間じゃない、悪魔として生まれて、5年 生きてきたのよ。
人間に同情なんてしちゃいけないわ。
眉間にしわを寄せてグッと足元のくもをにらんでいると、エヴァンは「降りるよ」と言って、くもから飛び降りた。



