【短】悪女、悪魔に転生する。

 生活にこまることはない裕福な家柄、接し方にこまるけどあたしを溺愛(できあい)している家族。

 そもそも母以外の女を見たことがないというのは置いといて、男をうばったとさわぎ立てる女もいない今の生活は、まぁ文句のつけどころがない。

 こんな色の空でも昼と夜はちゃんとあるし、5年も暮らしていれば地球とはちがう景観(けいかん)だろうと なれた。


 でも、あたしはこの前、屋敷の書斎(しょさい)にある本を読んで知ったの。




「ねぇ、えばん」


「うん?どうしたの?」


「ごはん、たべにゃくても、ちなにゃいんでしょ?」




 悪魔に、毎日3回の食事は必要ないって。

 視線を下げて、あたしをだっこしながら歩いているエヴァンの顔を見ると、やわらかくほほえんで うなずかれた。