進級にともなう浮足立った空気が落ちついてきた今日このごろ。
広い体育館に数百人の生徒を呼び出し、朝から全校集会をおこなっているのは、うちの高校に長く巣食っているとうわさの不良集団・遊魁。
暴走族とも呼ばれる彼らは、まぁ力を持ちすぎた生徒会みたいな存在で、ガラがわるそうな見た目に反して、さほどぶっそうな事件は起こさない。
「ふわ~ぁ…」
春の陽気にさそわれ、私があくびをもらしたとて、遊魁に目をつけられるかも、なんてビクビクする必要はないのだ。
たとえそれが、百数十人といる遊魁の面々をまとめあげるリーダー、“総長”の演説中だったとしても。
「というわけで、例年どおりくじ引きをします」



