そんな夢ならもう一度会いたい

そっか…、そうだよね。


生きててよかった、未来で会えてよかった。

私のことを覚えてなくても、一緒に過ごした日々を失ってても、実咲の中に私はいた。


私の中にも実咲はいるから。

ずっとずっと、ここにいるから。


私は覚えてるよ。

ずっと忘れない。


「…っ」


涙を拭いた。

ぐちゃぐちゃだった涙を拭いて、すぅっと息を吸った。

「…門倉先生」

「ん、何?」

「明日も元気に学校来ます」

前をしっかり見てる、見えてる。

ちゃんと門倉先生の顔を。

「おっ、いい心がけ!」

私も生きよう、大事にしよう。下ばかり向いてないで。

「でも無理はするなよ、安静にして大丈夫だと思ったらな」

きっといいことあるから、生きてたら。

「俺は毎日学校出待ってるから」

何でも出来る高校生なんだからね。

「じゃあ俺1回職員室行ってくるわ、そろそろ親御さん迎えに来ると思うから」

門倉先生が立ち上がる。保健室から出ようとして、ドアの方へ向かった。

「あ、そうそう」

足を止めた門倉先生が振り返った。

「その子、高須に似てるかも」

「え…?」

「よく夢に出てくんだよ、記憶にないはずのあの子が!」

にこっと笑って出て行った。嬉しそうに笑った門倉先生が。

「……。」


…どこかに残ってるのかな?

実咲の記憶の奥に、ひっそりとあの子が。

消えずに…


ふふっと声が漏れる、なんだか笑ってしまった。


そっか、そうなんだ覚えててくれたんだ。

いいなぁ、夢で会えるなんて。


今度は私の夢にも出て来てよ。

そんな夢なら何度でも見たいよ。


もう一度実咲に会えたら、またどこかで出会えたら、今度は未来の話をしよう。



笑って未来を叶えようよ、2人で。