そんな夢ならもう一度会いたい

「あ、でもさ!」

パッと目を大きくした門倉先生が右手を口元に添えた。

「実は好きな子がいたらしいんだよね、高校生の俺」

こそっと私にだけ聞こえるように。

「えぇ!?」

「いや、知らないよ?知らないけどたぶんそう!だって俺のことだもん、俺が1番知ってるよ!」

「…記憶、ないんですよね?」

「ない!」

なぜ今の門倉先生はこうなんだろうか、何がそんなに自信があって…


何を言い出すの?


「スマホのメモには続きがあって!」

「続き、ですか?」

「そう!続き!」

ニッと口角を上げた門倉先生は嬉しそうで、懐かしむように笑ったの。

「その子と一緒に未来を歩きたかったんだって」

“天鞠…、一緒に暮らそう!”

実咲が言った。

実咲が言ってくれた。


あの言葉…っ


「名前とかどんな子とか詳しくは書いてなかったし好きって文字もなかったけど…暗闇の中で生きてた俺の唯一の希望みたいに感じてさ」

そんな風に、思ってくれてたの?実咲は私のこと…

「これは俺本人が言うんだから間違いない!」

「……。」

グッと親指を立ててアピールされた。
いや、本人ではあるんだけどそうなんだけど…

「その子がいたから死ぬのをやめたっぽいんだよ、それなのに階段から落ちたはやっぱ事故だったと思う」

事故…だった、けど。

「だからその子のおかげだよ」

「…どうしてですか?」

「だって死にたいって思ってたら死んでたと思う、でも生きてるから!生きたいって思ったから今俺ここにいるから!」