そんな夢ならもう一度会いたい

あれは夢だった?

だけどそれにしては妙にリアルだった。

何日も何日も、夢とは思えない日々だった。

「あ、すみませんっ…覚えてないですよね?」

そうだ、門倉先生は記憶がないんだった。そんなこと聞いても…


「してたよ、1人暮らし」


え…?


「なーんもない部屋で1人暮らし、してたよ」

妙にリアルだった夢は夢じゃない?

でもそれだけじゃわからないよね、何もないって言ってもどこまでがないとか…

「冷蔵庫と電子レンジしかないの!記憶なくしてからその部屋行ってびっくりしたね!」

殺風景な部屋だった、生活感なんてまるでなくて。

「で、なぜかガリガリ君のあたりが大事そうに置いてあった」

“あたりって書いてある”
“これ何?”

あの日、一緒に食べたガリガリ君…
替えに行こうとして結局そのままだった。
あたりが珍しくて捨てるのももったいなくて置きっぱなしだった。


それは覚えてるの…?


「でも急になんでそんなこと聞くんだ?俺の1人暮らしの話なんて」

「門倉先生」

「なんだ?」

「門倉先生が…」

1つ、浮かんだ。

繋がった。

そう思いたくないけど、考えられるものがこれしかなかった。


その答えを聞くのは勇気がいるけど。


「記憶を失ったのは階段から落ちたせいですか?」


原因は私だ。