そんな夢ならもう一度会いたい

涙が、ポタポタ落ちて。

目の前が見えなくなって。

腕を掴む実咲の手の温度だけ感じてた。

「天鞠と会えた、それだけでオレは満足だ」

「……。」

「オレの人生全部報われた気がした、天鞠と出会えたから」

「…っ」

私と実咲の出会いはそんなんじゃない。

そんな大それたものじゃない、そんなこと言われるようなものじゃない…

「実咲…っ」

だけど、私も思ってる。

ここにいる日々は楽しくて、ずっと笑っていられたから。

何も考えなくていい、思い出さなくていい、実咲のことだけ想っていればいい。

「天鞠…、一緒に暮らそう!」

ずっとそんな日が続けばいいのにって何度思ったかな。

「まだ高校生だし未成年だけどいつかは大人になる、どうにかなるよよ…どうにかしてみせるから」

もう何も見えない、涙で遮られた視界では何も映らなくて。

「だって何でも出来るんだろ?オレらまだ高校生なんだから!」


“何でも出来る高校生なんだからもっと楽しめ!”

門倉先生を思い出したよ。

きっと門倉先生は本当に信じてたんですね。


信じてくれてたんですね、私のこと。


「実咲…!」


ボロッとこぼれ落ちる涙を拭うことも忘れて飛び込もうと思った、実咲の胸の中に。

ぎゅっと抱きしめられたかった。


だけど…


「天鞠!!!」


見えてなかったの、ぐちゃぐちゃな瞳では見えなかったの。


“そんな急いでたら階段から落ちるぞ!”

一歩動いたら、階段がすぐそばにあったこと。


「天鞠…っ!!!」


実咲が腕を引っ張る、だけど踏ん張る場所がない階段は真っ逆さまに落ちていくことしか出来なくて。


あ、これこの感覚…!

一緒だ、あの時と一緒!!


屋上の階段から落ちた時とおんなじ感覚だ…!!!




「天鞠!!!!!」