そんな夢ならもう一度会いたい

「天鞠…っ!!!」

追いかけて来た実咲にグイッと手を引っ張られた。
止めたくなかった足を止められて苛立ってしょうがない。

「そんな急いでたら階段から落ちるぞ!」


やめて

手を離して

顔を見ないで



たぶん私止まらなくなるー…!



「天鞠どうした?何があった!?」

「…っ」

「天鞠っ」


止まらなくなるからー…っ


「お母さん…っ」


なんでそんなひょろひょろなのに、簡単には離してくれないぐらい力が強くて…


止められない…っ!


「再婚したのっ」


再婚する前からおかしかった。

そんなお母さんの様子には気付いてた。


でも知りたくなかったの。


「再婚した人は…普通に優しい人で…」

鼻の奥がツンとして痛い。
視界がじわじわと水分が増して見づらくなる。

「わかってるの、わかってるんだよ…!再婚するのは悪いことじゃないってこと」

だけどね、私に向かって笑うお母さんの顔じゃなかったことがどうしても許せなかった。

「再婚した人の前だとお母さん変わるの…お母さんがお母さんじゃないみたいで、知らない人みたいなの…」

だから家に帰りたくなかった。

なるべく顔を合わせたくなかった。


お父さんがいなくてもよかったよ、お母さんがいたからよかったの。