そんな夢ならもう一度会いたい

そんな投げやりの言い方が、この暗闇ではより寂しさを増して胸が苦しくなる。

「別に何かしようとか思ってねーのにな、自意識過剰過ぎだろ」

実咲が窓に近付いた、月明かりで少しだけ明るく見えた。

だから表情が、伝わっちゃった。

「でも要は、いらないってことなんだよ」

笑ってるのに笑ってない実咲の顔が、胸をえぐって。

「だからオレなんかがいなくてもいいんだよ」

17歳の門倉先生はそんなことを思ってたの?

私の知ってる門倉先生は屈託のない顔で笑う人だった。

「どーでもいいんだよ」

そんなこと間違っても言うような人じゃなかった。

瞳の奥が熱を帯びる、水分が溜まって一度でも瞬きをしたらこぼれてしまいそうだ。

「ねぇ実咲…今楽しい?」

「楽しく見えるか?」


門倉先生、門倉先生は今が楽しいって言ってましたよね?


それは全部を忘れられたからですか?

本当は全てを忘れたいと思っていたんですか?


「楽しいことなんかなかった、ずっと」

どんな人生を生きて来たんですか?

「でも今日初めて、楽しいって思った」

実咲がふっと声を漏らすように微笑む、私を見て。

「天鞠といて」