「大丈夫?」
石黒くんがいなくなると、先生は心配そうにソファの側に立つ私を見た。
「はい。ありがとうございました。あの、石黒くんが安藤課長の奥さんと浮気していたって本当なんですか?」
「あの慌てぶりから見ると、本当だったようですね」
先生は口の端を上げた。その表情には、どこか悪戯っぽい笑みが含んでいる。
「え、先生、確証があったんじゃないんですか?」
「僕が彼に見せたのはこの画像ですから」
先生がスマホの画面を見せてくれる。
それはシティホテルらしき建物から出てくる石黒くんと中年女性の姿だった。浮気の証拠と呼ぶには弱い気がした。
「後は聞いた石黒くんの噂と、一条さんへの彼の不誠実な態度から推測したんです」
「噂ですか」
「仕事柄、皆さんの相談に乗っているうちに、秘密の話を聞いてしまうことがあるんです。安藤課長の奥さんが石黒らしき社員と浮気をしていると教えてくれたのは安藤課長のパワハラに悩まされていた鈴木さんです」
営業部から企画部に異動になったあの鈴木さんだ。
「まさかあの時の話から繋がっていたんですか?」
先生が静かに頷く。
「すみません。聞いた時は石黒だという確証がなかったし、一条さんに余計な心配をかけない方がいいと判断し、伏せてありました。しかし、一月前に新宿のホテルで石黒と安藤課長の奥さんを見かけ、一条さんに話すべきだと後悔しました。本当に申し訳なかったです」
それで先生は私を気にかけてくれたんだ。
一ヶ月前ということは、石黒くんは私と付き合いながらも安藤課長の奥さんと不倫していたことになる。
「だから先生は石黒くんと別れた方がいいと言ったんですね。せっかく先生が忠告してくれたのに、私、素直に聞けなかった。バカですね、私」
本当に私は人を見る目がない。
同棲が延期になった時点で、石黒くんの不誠実さに本当は気づいていたのに、石黒くんに捨てられるのが怖くて、石黒くんの本質を見ないようにしていた。
初めての恋に必死にしがみついていた自分がただ、ただ幼く思える。
石黒くんがいなくなると、先生は心配そうにソファの側に立つ私を見た。
「はい。ありがとうございました。あの、石黒くんが安藤課長の奥さんと浮気していたって本当なんですか?」
「あの慌てぶりから見ると、本当だったようですね」
先生は口の端を上げた。その表情には、どこか悪戯っぽい笑みが含んでいる。
「え、先生、確証があったんじゃないんですか?」
「僕が彼に見せたのはこの画像ですから」
先生がスマホの画面を見せてくれる。
それはシティホテルらしき建物から出てくる石黒くんと中年女性の姿だった。浮気の証拠と呼ぶには弱い気がした。
「後は聞いた石黒くんの噂と、一条さんへの彼の不誠実な態度から推測したんです」
「噂ですか」
「仕事柄、皆さんの相談に乗っているうちに、秘密の話を聞いてしまうことがあるんです。安藤課長の奥さんが石黒らしき社員と浮気をしていると教えてくれたのは安藤課長のパワハラに悩まされていた鈴木さんです」
営業部から企画部に異動になったあの鈴木さんだ。
「まさかあの時の話から繋がっていたんですか?」
先生が静かに頷く。
「すみません。聞いた時は石黒だという確証がなかったし、一条さんに余計な心配をかけない方がいいと判断し、伏せてありました。しかし、一月前に新宿のホテルで石黒と安藤課長の奥さんを見かけ、一条さんに話すべきだと後悔しました。本当に申し訳なかったです」
それで先生は私を気にかけてくれたんだ。
一ヶ月前ということは、石黒くんは私と付き合いながらも安藤課長の奥さんと不倫していたことになる。
「だから先生は石黒くんと別れた方がいいと言ったんですね。せっかく先生が忠告してくれたのに、私、素直に聞けなかった。バカですね、私」
本当に私は人を見る目がない。
同棲が延期になった時点で、石黒くんの不誠実さに本当は気づいていたのに、石黒くんに捨てられるのが怖くて、石黒くんの本質を見ないようにしていた。
初めての恋に必死にしがみついていた自分がただ、ただ幼く思える。



