さよならの勇気~お隣さんはクールで意地悪な産業医~

 石黒くんに会って話したいというメッセージを送ると、今夜は接待で時間が取れないという返信が来た。普段だったらそこで引き下がるけど、他の日でもいいから時間を作って欲しいと返した。それから石黒くんから返信はない。

 今夜はファミレスのバイトが休みだったから、家にいて、ずっと返信を待っていた。
 前はすぐに返信をくれたのに、最近は遅い気がする。もう石黒くんは私のこと好きじゃないのかな。同棲したがる私を迷惑に思っているのかな。そう思ったら不安になる。
 
 石黒くんの気持ちが全く見えない。

 先生にはファミレスのバイトのことを石黒くんに話していないと言ったけど、本当はバイトを決めてすぐに話した。石黒くんはどうして私が働くのか全く聞かず、頑張ってねと言っただけだった。石黒くんの言葉を思い出したら急に腹が立ってくる。最初から同棲する気がなかったら、言って欲しかった。そうすればこんな家賃の高いマンションに引っ越してくることもなかったし、家賃の為にバイトをすることもなかった。

 先生の言う通り、石黒くんは不誠実なのかもしれない。
 でも、私のことを世界一好きだと言ってくれた石黒くんを悪く思いたくない。また一人になりたくない……。

 気づくと石黒くんの返事を待ちながらソファで寝ていた。
 午前1時半になる所だった。
 パタンと森沢先生が住む隣の部屋のドアの音がした。

 こんな時間に先生はどこかに行くんだろうか?
 そう思った時、いつもコンビニから出てくる森沢先生の姿が浮かんでハッとした。

 まさか私を迎えに行ったの?

 ソファから飛び起きて、Tシャツに短パンの部屋着のまま外に出た。