「失礼します」
ノックをして先生の執務室に入ると、先生は腕を組んで窓際に立ち、外を眺めていた。
端整な横顔はやはり深刻そうに見える。労務担当者の私に報告しなければならない重大な事案が発生したのだろうか。
営業部の安藤課長にパワハラをされていた鈴木さんのことを思い出す。中途採用で入って来た彼女に対し、課長は新人教育という名目で執拗な指導をした。トイレに行く時間以外はずっと監視されていたという彼女の苦しみを、長時間労働者の面談で森沢先生が聞き出してくれた。そのおかげで人事部が対応し、彼女を企画部へ異動させることができた。営業部にいた頃は暗い表情をしていた鈴木さんが、今では本来の明るさを取り戻し、社内で会うたびにお礼を言われる。
私は執務机前の椅子に腰かけ、ノートパソコンを開き、先生の話をメモできるようにした。
「お待たせしました。話とはなんでしょうか?」
窓辺に立つ森沢先生に視線を向けると、先生がゆっくりとこちらに来て、私の顔を覗き込む。
心配そうな瞳と合った瞬間、胸がドキリとした。
「一条さん、君の話です」
森沢先生が私を真っすぐに見つめながら、はっきりそう口にした。
ノックをして先生の執務室に入ると、先生は腕を組んで窓際に立ち、外を眺めていた。
端整な横顔はやはり深刻そうに見える。労務担当者の私に報告しなければならない重大な事案が発生したのだろうか。
営業部の安藤課長にパワハラをされていた鈴木さんのことを思い出す。中途採用で入って来た彼女に対し、課長は新人教育という名目で執拗な指導をした。トイレに行く時間以外はずっと監視されていたという彼女の苦しみを、長時間労働者の面談で森沢先生が聞き出してくれた。そのおかげで人事部が対応し、彼女を企画部へ異動させることができた。営業部にいた頃は暗い表情をしていた鈴木さんが、今では本来の明るさを取り戻し、社内で会うたびにお礼を言われる。
私は執務机前の椅子に腰かけ、ノートパソコンを開き、先生の話をメモできるようにした。
「お待たせしました。話とはなんでしょうか?」
窓辺に立つ森沢先生に視線を向けると、先生がゆっくりとこちらに来て、私の顔を覗き込む。
心配そうな瞳と合った瞬間、胸がドキリとした。
「一条さん、君の話です」
森沢先生が私を真っすぐに見つめながら、はっきりそう口にした。



