『疎遠になってしまった友人と、仲直りがしたいです』
そう書かれた相談メモが、お悩み相談BOXに入っていた。
「あら、また友人関係ですね」
「まぁ、学生生活において友人関係というものはかなり大きいからな。悩むこともあるだろう」
「蓮詞もそういう悩みあったりするの?友達が多いようには見えないけど……」
私の言葉に、蓮詞はわざとらしくごほんと咳ばらいをする。
「友人くらいいるさ。桜彩とか五月とか、北條とか……」
「お悩み解決部のみんなだね!」
ごにょごにょと少し恥ずかしそうにする蓮詞が微笑ましくて、なんだかにこにこしちゃう。
そんな蓮詞に五月くんが嬉しそうに肩を組む。
「おう!俺たちは親友だもんな!」
「うんうん!」
「そうですね」
肩に乗せられた五月くんの腕をやんわりとどかす蓮詞。
「俺のことはもういいだろ。さ、依頼だ、依頼」
「そうだね!」
心がほくほくしたところで、私たちは相談のメモに目を落とす。
「疎遠になってしまった友人と仲直りがしたい、ということでしたね。相談主の名前はありますか?」
「えっとねぇ……」
椿妃ちゃんに聞かれて、私は文章の下に書かれていた名前を読み上げる。
「一年一組、真宮 陽斗くん、だって!」
「え…………」
読み上げた名前を聞いた五月くんが、驚いたような声を上げたまま固まった。
「五月くん?」
「五月?どうかしたのか?」
私たちの声がまったく耳に入っていないみたいに、五月くんは固まっていた。
「旭日くん、どうしたのでしょうか?ここは私が目を覚ましてあげましょうか?」
そういって椿妃ちゃんが五月くんの目の前で手を挙げようとするので、私は慌ててそれを止めた。
「ちょ、ちょちょっと待って!椿妃ちゃん!穏便に!穏便にいこう!」
「やだ桜彩ちゃん、暴力なんてふるいませんよ~」
そうだとしても、椿妃ちゃんの力じゃ、五月くんがびっくりしちゃうよ。
そうこうしていると、五月くんが口を開く。
「えっと……この相談は、みんなに任せてもいいか?俺は今回はパス!」
「え……?」
五月くんが相談をパスするなんてはじめてのことで、私たちは揃ってぽかんと口を開けてしまった。
五月くんはいつものように笑ってみせるけれど、その笑顔が無理をしてるってことくらい、毎日一緒にいる私たちにはすぐにわかった。
「わかった、今回は三人でなんとかしてみるね」
「悪いな、任せた」
「うん!」
こうして今回の相談は、五月くんなしで進めることになった。



