そのお悩み、私たちの能力で解決します!


 走ってやってくると、日下部先輩と、多分ゆいこ先輩が向かい合っているところだった。
 その後ろに五月くんがいる。
 蓮詞が息を切らして教室に到着したところで、ちょうどふたりが話しはじめた。

「ゆり……」
「ゆ、ゆ、ゆいこ!ど、どうして私にすぐ引っ越しの話を教えてくれなかったの?わ、私はゆいこのこと、ずっと幼なじみで親友だと思っていたのに……!」

 ゆいこ先輩は日下部先輩の言葉に、困ったような表情を見せる。

「私のこと本当は嫌いで、言いたくなかったのかもしれないけど、私は……!」
「ちがうよ!!」

 日下部先輩の言葉を、ゆいこ先輩がさえぎる。

「全然違うよ。ゆりは大好きな幼なじみ。親友だよ。だからこそだよ……」
「え……?」

 ゆいこ先輩は瞳を潤ませながら言う。

「ゆりと離れるのが寂しくて、言い出せなかった!大好きなゆりと離れるなんて嫌で、言いたくなかったの!」
「ゆいこ……」
「引っ越しなんて嫌だよ!でも、お父さんの転勤なんだから仕方ないってわかってる。でも、でも、ゆりと離れたくないよおぉ……っ!」

 日下部先輩とゆいこ先輩は抱き合って泣き出してしまう。

 私たちはその様子を見て、そっと教室を出た。




 地学準備室に戻ってきた私たちは、一様にしんみりしていた。

「よかった!やっぱり日下部先輩の誤解だったんだね!ふたりがしっかり思いを言葉にしあえてよかったよ!」

 私がそういうと、瞳を潤ませていた椿妃ちゃんもうなずく。

「そうですね、仲直りできそうでよかったです」
「そうだな」

「それにしても五月くん、ナイスだったね!」
「え?」

 黙って教室の外を見ていた五月くんが、私の言葉に振り返る。

「だって、日下部先輩の話を聞いてすぐにゆいこ先輩のもとに走っていったでしょ?五月くんがすぐに日下部先輩とゆいこ先輩を会わせてくれたから、お互いの想いを伝えあえたんだよ」

 五月くんは少し気まずそうに視線を外す。

「まぁ、なんていうか……ちょっと似たような事案を知ってたんだよ。それで、もしかしたらそうかなって……そうだったらいいな、みたいな……」
「そっか」

「友達同士はやっぱり、仲良くあるべきだろ……」

 夕陽が地学準備室に差し込んで、辺りがオレンジ色に染まる。
 強い夕焼けのせいなのかな?
 影ができて五月くんの表情が、少し寂しそうに曇って見えたような気がするのは。

「とにかく、今日も無事依頼達成だな」
「だな!」

 蓮詞の言葉に返答する五月くんは、やっぱりいつもの明るい五月くんだった。