どたばたな休日が明けて月曜日。
私はうーんと大きく伸びをして起き上がる。
隣には真っ白なねこが丸まって寝ている。
「おはよう!おもち!」
昨日助けたねこは、我が家の一員になった。
名前は真っ白でお餅みたいだから、おもち!
「やっぱりいいことがあったね」
眠るおもちの肉球をぷにぷにしながら話しかける。
少し危ない場面もあったけど、こうしておもちにも会えた。かわいい家族が増えてうれしいな。
「さ!今週もがんばろう!」
私はそう気合を入れて学校の支度を始めた。
学校に到着すると、なんだか教室が騒がしかった。
「なんだかみんなそわそわしてるね?」
前の席の蓮詞に声をかけると、蓮詞は本から顔を上げて言った。
「転入生が来るんだと。それでみんなそわそわしてるんだ」
「転入生!」
今はもう十月の終わりで、こんな中途半端な時期の転入生は珍しいかも。
「それはみんなそわそわしちゃうね」
「そうか?俺は別にどうでもいいけど」
「相変わらずクールだねぇ」
蓮詞はもうこの話は終わりだとでもいうように、手元の文庫本に視線を戻した。
転入生かぁ、もしかしてだけど、あの子かな?
昨日私を助けてくれた爽やかな男の子。
もしそうだったら、仲良くなりたいと思っていたから嬉しいな。
そんなことを思っていると、「はい、みんな席につけー」と担任の先生が入ってきた。
慌てて自分の席につく生徒達は、先生の後ろについて入ってきた男の子に視線を奪われる。
「あ……!」
私は教卓の前に立つ男の子を見つめる。
「このクラスに転入生が入ることになった。じゃあ自己紹介してくれ」
先生に促されて、男の子はクラスを見回す。
「旭日 五月です!変な時期の転入ですけど、仲良くしてくれたらうれしいです!」
そう元気よくあいさつした男の子は、やっぱり昨日私を助けてくれた男の子だった。
五月くんってお名前だったんだ!
そういえば昨日はお名前を聞きそびれてしまったのだった。
五月くんがぺこりとお辞儀すると、クラスからぱちぱちと拍手が起こる。
「爽やかでかっこいいかも!」なんて女子がこそこそ話してる。
顔を上げた五月くんと、ばっちり目が合う。
五月くんは驚いたように私を見た。
「あ!昨日の!」
私はにこにこと手を振る。
そのようすを見た先生が、「知り合いか?じゃあ未来、旭日に色々教えてやってくれ」と私を指名する。
「はい、わかりました」
五月くんは私の隣の席に座ることになった。
「私、未来 桜彩。五月くん、改めてよろしくね!」
「おう!よろしく!まさか本当に会えるなんて」
「ね!びっくり!」
私と五月くんが笑い合っていると、蓮詞がじとっと眼鏡を光らせる。
「あ、きみもたしか昨日会った……」
「藤村 蓮詞だよ、私の幼なじみなんだ!」
「そうなんだ、よろしく!」
五月くんが笑いかけると、蓮詞は「よろしく」と無表情のまま返答する。



