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 無事五月くんが助っ人に入ったバスケの試合も終わった翌週の週末。

 私は目的もなくお散歩していた。
 今日はなにかいいことがありそう、っていうよりかはこの紅葉の街並みを歩きたいなってただそれだけの理由で外に出た。

 気が付けば街が紅や黄色に染まっていて、足元にはもみじやいちょうの絨毯(じゅうたん)ができている。
 風もだいぶ冷たくなって、もうすぐ秋が終わりそうだった。

 ふらっと雑貨屋さんに入ってみたり、ショーウィンドウを見たり。
 そんなふうにのんびりお散歩していると、もうすっかり見慣れた後ろ姿を発見した。

 交番から出て来たそのひとに、私は声をかける。

「五月くん!」
「お、桜彩!よっす!」

 五月くんはにこっと明るい笑顔を浮かべると、こちらにやってくる。

「どうかしたの?交番から出て来たみたいだったけど……?」
「ああ、迷子の女の子がいてさ。交番まで送り届けてたんだ。首からスマホ下げてたから、お母さんとはすぐに連絡が取れたんだけど、ひとりで外で待っているよりか、交番で暖かくして待ってたほうがいいだろ?」
「そうだったんだね」

 五月くんは相変わらずだ。
 校内でも、こうして外でも誰かの力になろうとする。

「じゃあ、俺はこれで」
「どこか行くの?」
「あ、いや、まぁ、ただ歩いてて。えっと一応パトロール的な?困ってるひとがいるかもしれないだろ?」

 その正義感がどこからくるものなのか、私にはわからない。

 けど、これ以上自分を犠牲にするようなことはさせないようにしなくちゃ。

「私も、一緒にいてもいい?」
「え?いいけど……桜彩は予定大丈夫なのか?」
「うん!ただお散歩してただけだから」
「そっか。じゃあ、一緒に行くか!」
「うん!」

 そうして私と五月くんは並んで歩きはじめた。



「五月くんは、いつから高速移動の能力が使えたの?」
「んー?そうだなぁ、八歳くらいだったかなぁ……」
「そうなんだ!私と同じ頃だ」
「まぁ、もっと早くにほしかったけどな……」
「え?」

 それってどういう意味?そう聞こうとすると、「あ!」と言って五月くんが駆け出す。

 目線の先には、木に引っかかった風船が。
 木の下には小さな男の子がいて、風船を見上げたり、辺りをきょろきょろしたりしながら困っていた。
 五月くんはさっと木の枝に引っかかる風船を取ると、小さな男の子に手渡した。

「ほい。もう離すんじゃないぞ」
「ありがとう!おにいちゃん!」

 男の子は嬉しそうに帰っていく。

「ナイス!五月くん!」
「おう!」
「もしかして五月くんって、いつもこうしてパトロールみたいなことしてるの?」
「まぁな。家にいても特にすることもないし、まぁ散歩がてら」
「そうなんだ。またこうして私も一緒にいてもいいかな?」
「え?」

 私の言葉に、五月くんは目をぱちくりさせる。

「私もお休みの日はよくお散歩してるんだ。困ってるひとがいたら、一緒に手助けしたいなって」
「マジ?桜彩がいてくれると超心強い!ぜひ頼むよ」
「うん!」



 それからも私たちは、お散歩中に逃げてしまった犬を探したり、おばあちゃんの重い荷物を運んであげたり、ピアスを落としてしまった女の子と一緒にピアスを探したり。

 五月くんがまた無茶しないか、私は目を光らせていた。
 私がじとっと見ているせいか、五月くんの頭上には「?」マークが浮かんでいた。