「なぁんだ、全部あいつらがやったことだったんだなぁ」
「と言っても、彼らがやったのは音楽室のラジカセと最後におどかしにきたくらいか。他はなにもなかったわけだし。というか、いい加減おろしてくれないか、五月」
ずっとお姫様だっこされたままの蓮詞が、五月くんに文句を言う。
「まぁまぁ、このまま地学準備室まで運んでやるよ」
「いや、結構だ」
「それにしても桜彩、さすがだな!また未来を見たんだろ?」
「あ、うん!」
「すぐに俺に言ってくれたおかげで、蓮詞が怪我しなくてよかったよ」
蓮詞は少し照れくさそうに顔をうつむかせる。
「まぁ、その、なんだ。ありがとうな、ふたりとも」
「あー、なんか校舎内うろうろして腹減ったな!なんか食って帰らないか?」
「賛成です!私もお腹が空きました!」
四人でわいわいと地学準備室への道のりを歩きながら、私はふと考える。
女子トイレから聞こえたお返事は、誰のものだったんだろう?
佐藤くんたち?それもラジカセが置いてあったりしたのかな?
少し疑問に思いながらも、まぁいっか、と私も何を食べるか談議に混ざることにした。



