ラブレターはやっぱり気持ちが一番大事。
北條さんの今までの想いや、気持ち、そのひととどうなりたいのか。例えばお友達になりたいとか、恋人になりたいとか。
そういう気持ちを詰めこんだり、こんなことを書いたらとか、こう書いてあったら想いが伝わりやすいとか。
そんな風に四人でアイデアを出し合いながら、一通のラブレターが書き上がった。
かわいらしい椿柄の便せんの封を、これまたかわいいうさぎのシールでペタッと貼って、それは完成した。
「できましたっ!ラブレター!」
北條さんはラブレターを高くかかげてきらきらとそれを見つめる。
「やったねっ!」
と私たちもぱちぱちと手を叩いた。
「さっそく渡しに行くか!?」
そわそわする五月くん。
私もはやる気持ちを抑えながら、北條さんに問いかける。
「渡す相手のひと、見つけたって言ってたけど、近くに住んでるの?」
「はい、この学校に通っていたんです」
「え!?」
北條さんの言葉に、私と五月くんは驚きの声を上げる。
「実はそのひと、隣のクラスなんです」
「隣のクラスって……、北條さんは一組だから……私たちのクラスじゃん!?」
私と五月くんはお互いの顔を見合わせて、またも驚きで目を丸くする。
「はい、二組の方です」
「そうだったんだ……!」
こんなに近くに北條さんの想い人がいるなんて……!
誰だろう?北條さんを守ってくれそうな男の子……。
五月くんは最近転入してきたばかりだし、蓮詞がそんなふうに誰かの間に割って入るようなイメージもない。
うーん、誰だろう……?
クラスの男子の顔を順に思い浮かべていると、北條さんが席を立った。
「明日さっそく、お渡ししようと思います!」
ラブレターを無事書き終えたことで自信がついたのか、北條さんは気合十分でそう言った。
「放課後、体育館裏でお渡しする予定です。良ければ、その……」
北條さんは少し照れくさそうに私を見た。
「未来さん、校舎裏に来ていただけないでしょうか?」
「もちろん!近くで見守ってるね!」
私の返事に、北條さんはほっとしたように息をつく。
「ありがとうございます!」
「また明日」、と北條さんと別れて、帰り道はいつもの三人。
「明日ドキドキするね~」
「だなっ!うまくいくといいな!」
「能力を使うような案件ではなかったが、まぁ、いいか」
「うん!お悩み解決部だからね!ときには能力を使うこともあるのかもしれないけど、そこにこだわらずいろんなひとの力になれるといいよね!」
「おう!」
「そうだな」
お悩み解決部としてはじめての依頼。
北條さんの恋。うまくいくといいなぁ。



