そのお悩み、私たちの能力で解決します!



 週明けの放課後。
 校舎内に置いていたお悩み相談BOXを地学準備室でチェックしていると、一枚の紙が入っていた。

 とてもていねいに折りたたまれている紙を、私もていねいに開いた。
 そこにはきれいな字で、こう書かれていた。


『お悩み解決部のみなさんへ
初めまして。ご相談させていただきます。私には、好きなひとがいます。しかしその好きなひととは接点がなく、しかしながら想いは募るばかりでございます。そこで私は、ラブレターというものをしたためてみようと思いました。しかし、ラブレターというものを書いたことがなく、どう書いてよいのかわかりません。
お悩み解決部のみなさま、どうかお力をお貸しいただけないでしょうか』


「さ!さ、五月くん!蓮詞!ちゃんとした相談がきたよ!!」

 この前みたいな、先生からのお手伝いの相談ではなくて、生徒からの相談事。
 私の慌てように、五月くんと蓮詞は私の手元を覗きこむ。

「マジだ……!」
「恋の悩みか」
「すごいね!初めての相談事だよ!」

 しかもなんだかキュンとしそうな恋の相談!
 スマホからのメッセージじゃなくて、手紙だなんてとってもすてき!

「私、ぜひ力になってあげたい!」
「だな!」
「まぁ、そういう部活動だからな」

 五月くんと蓮詞もとっても乗り気みたい。

「で、その相談事を書いてくれたのは、どこの誰なんだ?」
「あ、誰だろう!?」

 文章の下の方を見ると、しっかりと名前が書かれていた。

「二年一組、北條 椿妃(ほうじょう つばき)、さん、だって!!」
「一組?俺たちの隣のクラスじゃん」
「そうみたい!」

 私と五月くん、蓮詞は二年二組だから、この相談事をくれた北條さんはお隣のクラスの子だ。

「北條さんに直接お話できるかな?ラブレターの書き方、一緒に話しながら進めたいね!」

 私がそういうと、蓮詞がさらっとこう言った。

「北條なら、塾が一緒だ。今日ちょうど塾の日だから、会ったら声をかけておくよ」
「蓮詞ナイス!お願いしちゃうね」
「ああ」

 はじめての相談事にうきうきしながら、その日の部活は終わりとなった。
 北條さんの役に立てるといいな!




 次の日の朝、教室に入ると蓮詞がいつものように本を読んでいた。

「おはよう、蓮詞!昨日、北條さんと話せた?」
 本から顔を上げた蓮詞は、こくりとうなずく。

「話せたぞ。今日の放課後、地学準備室に来てくれるとさ」
「本当に?よかった!北條さん、まさか蓮詞がお悩み解決部だなんて驚いてたでしょ?」
「かなり」

 私の言葉に、蓮詞は苦笑いを浮かべる。

「『藤村くんがお悩み解決部だったんですか!?恥ずかしい……』と顔を真っ赤にしていた」
「だよね!」と私も笑う。

 北條さんもまさか蓮詞が誰かの相談を聞く部活に入っているとは思わないよね。

「放課後、がんばろう!」
「そうだな」

 そんな話をしていると、ちょうど五月くんが登校してきた。

「おはよう!昨日の相談者の話か?」
 五月くんにも北條さんの話をして、放課後、三人で相談事を聞くことになった。