レナとまほうの歌のプリンセス~いっしょに歌えばみんな友だち!~

「ここが、カデンツァ王国……」

 レナはきょろきょろと辺りを見渡します。

 真っ白な壁に描かれているのは橋と同じ横のしましま模様。きっとこれは楽譜なのでしょう。上を見上げてみれば、たくさんの音符がつるされたシャンデリアがありました。

「カノン姫のおへやはこっちだよ」

 トトに案内されて、レナは廊下を歩きます。すると、通せんぼするように廊下の真ん中に大きな木が二本、植わっていました。

「これは何?」
「ミューズ・ツリー。歌の力で生きている、カデンツァ王国のシンボルだよ。でもいつもは一本なのに、どうしたんだろう?」

 トトはミューズ・ツリーを通り抜けようとしましたが、跳ね返されて尻もちをついてしまいます。あわててレナが助けおこすと、トトは勢いよく飛び跳ねました。

「そうか! どちらかは幻だね。ほら、見てごらん。よく似ているけど、右の木のてっぺんには音符があって左にはないだろう?」
「ほんとだ! あっ、左の木にはほら穴があるけど右にはない……」

 じっくり見れば、レナもいろいろと見つけることができそうです。

「よーし。ふたりで協力して、違いを見つけよう!」
「うん!」

〈やってみよう!〉
 よく似たミューズ・ツリーが二本あるよ。だけどちがう所があるみたい……探してみよう!

 見事にすべての違いを見つけると、もう一本のミューズツリーはキラキラと光の中に消えていきました。
 残るは本物のミューズ・ツリー。ですが、通せんぼしていることに変わりはありません。

「トトです。カノン姫に会いに来ました。通してくれませんか?」

 トトがていねいにお願いをしてもだんまりです。

「カノン姫のお友だちをお連れしました」

 トトがレナをちらっと見たので、レナはあわててトトの隣に立っておじぎをします。

「はじめまして。レナです。カノン姫に会いたいんですけど……」

 すると、ミューズツリーの枝がゆっくりゆっくり動きます。

(通してくれるのかな?)

 するすると伸びてきた枝がトトを掴みます。

「えっ」

 また別の枝が伸びてきて、レナのお腹に巻きつきました。

「これは……もしかして」

 大きな窓が開きます。
 ぐんっと勢いよく枝に持ちあげられたレナとトトは、窓の外に放り出されてしまいました。

 びゅーん!
 
「きゃーっ」
「うわーっ」

 ドサッ!!
 
 ぽいっと投げられたところはお花畑でした。ふかふかの土がクッションになったおかげで、痛くありません。

「びっくりした……」
「うーん。やっぱりカノン姫は誰にも会いたくないのかな」
「えーっ、それじゃあここまで来たのに会えないの?」
「いやいや、別のルートがあるから大丈夫! ちょっと回り道になるけど行ってみよう!」

 そう言うと、トトは急いでお花畑を駆け抜けていきます。

「あっ、待って」

 レナは洋服についた土をぱんぱんと払って立ち上がりました。足元の花を踏んでしまわないように、ゆっくりよけながら進みます。
 
(お花は咲いているけど……なんだか元気がないみたい)

 〈やってみよう!〉
 お花畑にやってきたよ。でもお花は元気がないみたい……。お水や太陽、肥料のマスを通りながらお花に元気をあげよう!
 

 お花畑の中でレナが空を見上げれば、同じように元気のないどんよりした雲が広がっています。

(カノン姫のさみしさが、空やお花につながってるのかな? そうだとしたら、私がお友だちになることで何か変わるかもしれない)

 レナは今にも折れ曲がりそうな茎に触れて、そっと持ち上げます。

「がんばって。もう少しのしんぼうよ」
「おーい、レナー! こっちだよ! 迷路があるんだ。一緒に進まないと迷子になっちゃうよ!」

 お花畑の向こうでトトが呼んでいます。
 レナはトトを追って迷路に飛び込んだのでした。

〈やってみよう!〉
 この迷路を脱出するには、散らばった文字を集めて言葉を作ってみよう。
 ヒント:一緒にレナとトトを応援しよう!
 こたえ:「レナ」 「トト」 「がんばれ」