「えええっ!?」
王国を救う? どういうことでしょう?
レナはぱちくりと瞬きをしますが、トトは真剣なまなざしです。
「どうして私が? カノン姫に何があったの?」
「それが……カノン姫のお友だちが別の国にお引越しをしたんです。そうしたらカノン姫はひとりぼっちになってしまって、歌が歌えなくなってしまいました」
「ひとりぼっち……」
レナも大好きなアイネちゃんとクラスが分かれたばかりです。ひとごととは思えません。
「王国に伝わる歌は特別なものです。姫が歌わなければ、音楽の力が弱まって、王国が消滅してしまうかもしれません!」
「そ、それって大変なことだよね……」
歌にそんな力があるのかとレナはたじろぎます。ですが、歌っていると元気が出てくるのはレナも同じ。それが音楽の国のものなら、もっとすごいパワーを秘めているのかもしれません。
「……わかった。私にできることなら協力するよ。私もカノン姫とお友だちになりたい! だって……ひとりぼっちはさみしいって気持ち、わかるもの!」
レナはトトのやわらかい手をぎゅっと握ります。トトはほんのり涙ぐみながら手を握り返しました。
「ありがとう……! さっそくキミをカデンツァ王国に連れて行くよ。好きな曲を歌ってごらん」
「好きな曲? なんでもいいの?」
「うん!」
トトに言われてレナが思い浮かべたのは、アイネちゃんとの思い出の曲。自然とメロディを口ずさみます。
~ル……ララ♬、ル…………♪~
「あれっ」
すると、足元がほのかに明るくなってきました。ぴょこぴょこと光る双葉が芽生え、あっという間にしましま模様の大きな橋が現れ、空へ向かってアーチを描いています。
「これは何!?」
「カデンツァ王国に向かう楽譜の橋さ。さあ出発しよう!」
トトはレナの手からぴょんと飛び出すと、橋の上でステップを踏みます。
「ほーら、レナ! こっちだよ」
「お、落っこちない……?」
「歌っていればメロディがキミを守ってくれる。さあ、曲を止めないで!」
「……よしっ」
レナは勇気を出して一歩踏み出しました。足元からリンリンと音がしてレナを励ましてくれているようです。
橋はしましま模様ですが、ふしぎと空いているところから落ちる心配はなさそうで、レナはほっとしました。
〈やってみよう!〉
音符に数字が書かれているよ。1から順番に探して楽譜の橋を渡ってみよう!
「わああっ、歩くたびに音がする!」
「キミの歌に合わせて橋が合奏してくれているんだ。やっぱりキミは特別な子だね!」
ぴょこん♪ とん♪ ララ、ルー♬
歌っているうちに、いつのまにか橋は雲を抜けていました。
「空の上だ!」
「いいぞいいぞー! さあ、カデンツァ王国まではもうひと息だよ」
足元から聞こえるメロディとレナの歌に合わせて、トトも手拍子で参加します。
橋のてっぺんに上って深呼吸。ここから下っていくようです。
「あれは……ピアノ?」
レナが指さした先にはピアノの鍵盤模様のカーテンが何かをぐるりと囲んでいます。
「あれはカデンツァ王国のお城だよ。さあここからは一気に行こう!」
トトはいきおいよく橋を駆けると、すべり台のように一気に降りていきました。
ばびゅーん!
「ええっ、置いていかないで〜!」
レナもまねをしてぴょんと橋におしりをついて滑りおります。
「うわあああ……っ」
ジェットコースターのような勢いに、レナは歌うことも忘れて目を丸くしたきりです。そうしているうちにぐんぐん鍵盤のカーテンが近づいてきました。
(いけない! ぶつかる!)
ぎゅっと目をつぶったレナですが……いつまでたってもぶつかりそうにありません。
おそるおそる目を開けると……
「あっ!」
目の前でカーテンが左右にすーっと開いていきました。その中心を楽譜の橋に乗ったレナはくぐり抜けていきます。
(うわあっ)
お城の中へ入ったようです。
滑るスピードはゆるやかに落ち着き、やがてレナは橋の終わりまでやってきました。
「よいしょ」
橋からぴょんと飛び降りれば、ひと足先に到着してきたトトが拍手で出迎えてくれました。
「ようこそ、カデンツァ王国へ!」
王国を救う? どういうことでしょう?
レナはぱちくりと瞬きをしますが、トトは真剣なまなざしです。
「どうして私が? カノン姫に何があったの?」
「それが……カノン姫のお友だちが別の国にお引越しをしたんです。そうしたらカノン姫はひとりぼっちになってしまって、歌が歌えなくなってしまいました」
「ひとりぼっち……」
レナも大好きなアイネちゃんとクラスが分かれたばかりです。ひとごととは思えません。
「王国に伝わる歌は特別なものです。姫が歌わなければ、音楽の力が弱まって、王国が消滅してしまうかもしれません!」
「そ、それって大変なことだよね……」
歌にそんな力があるのかとレナはたじろぎます。ですが、歌っていると元気が出てくるのはレナも同じ。それが音楽の国のものなら、もっとすごいパワーを秘めているのかもしれません。
「……わかった。私にできることなら協力するよ。私もカノン姫とお友だちになりたい! だって……ひとりぼっちはさみしいって気持ち、わかるもの!」
レナはトトのやわらかい手をぎゅっと握ります。トトはほんのり涙ぐみながら手を握り返しました。
「ありがとう……! さっそくキミをカデンツァ王国に連れて行くよ。好きな曲を歌ってごらん」
「好きな曲? なんでもいいの?」
「うん!」
トトに言われてレナが思い浮かべたのは、アイネちゃんとの思い出の曲。自然とメロディを口ずさみます。
~ル……ララ♬、ル…………♪~
「あれっ」
すると、足元がほのかに明るくなってきました。ぴょこぴょこと光る双葉が芽生え、あっという間にしましま模様の大きな橋が現れ、空へ向かってアーチを描いています。
「これは何!?」
「カデンツァ王国に向かう楽譜の橋さ。さあ出発しよう!」
トトはレナの手からぴょんと飛び出すと、橋の上でステップを踏みます。
「ほーら、レナ! こっちだよ」
「お、落っこちない……?」
「歌っていればメロディがキミを守ってくれる。さあ、曲を止めないで!」
「……よしっ」
レナは勇気を出して一歩踏み出しました。足元からリンリンと音がしてレナを励ましてくれているようです。
橋はしましま模様ですが、ふしぎと空いているところから落ちる心配はなさそうで、レナはほっとしました。
〈やってみよう!〉
音符に数字が書かれているよ。1から順番に探して楽譜の橋を渡ってみよう!
「わああっ、歩くたびに音がする!」
「キミの歌に合わせて橋が合奏してくれているんだ。やっぱりキミは特別な子だね!」
ぴょこん♪ とん♪ ララ、ルー♬
歌っているうちに、いつのまにか橋は雲を抜けていました。
「空の上だ!」
「いいぞいいぞー! さあ、カデンツァ王国まではもうひと息だよ」
足元から聞こえるメロディとレナの歌に合わせて、トトも手拍子で参加します。
橋のてっぺんに上って深呼吸。ここから下っていくようです。
「あれは……ピアノ?」
レナが指さした先にはピアノの鍵盤模様のカーテンが何かをぐるりと囲んでいます。
「あれはカデンツァ王国のお城だよ。さあここからは一気に行こう!」
トトはいきおいよく橋を駆けると、すべり台のように一気に降りていきました。
ばびゅーん!
「ええっ、置いていかないで〜!」
レナもまねをしてぴょんと橋におしりをついて滑りおります。
「うわあああ……っ」
ジェットコースターのような勢いに、レナは歌うことも忘れて目を丸くしたきりです。そうしているうちにぐんぐん鍵盤のカーテンが近づいてきました。
(いけない! ぶつかる!)
ぎゅっと目をつぶったレナですが……いつまでたってもぶつかりそうにありません。
おそるおそる目を開けると……
「あっ!」
目の前でカーテンが左右にすーっと開いていきました。その中心を楽譜の橋に乗ったレナはくぐり抜けていきます。
(うわあっ)
お城の中へ入ったようです。
滑るスピードはゆるやかに落ち着き、やがてレナは橋の終わりまでやってきました。
「よいしょ」
橋からぴょんと飛び降りれば、ひと足先に到着してきたトトが拍手で出迎えてくれました。
「ようこそ、カデンツァ王国へ!」


